玉掛け資格とは?取得に要する期間や費用も紹介

玉掛け資格とは?取得に要する期間や費用も紹介

玉掛けは、クレーンを使った業務と密接に関わる作業で、主に工場での仕事で行われます。工場勤務を始めたばかりの人や、玉掛けの作業に興味のある人の場合、玉掛けの具体的な作業内容までは知らないという人もいるのではないでしょうか。

この記事では、玉掛けや玉掛け資格について紹介します。玉掛け資格の取得に要する期間や費用などについても詳しく解説するため、資格取得を考えている人はぜひ参考にしてください。

また、玉掛け資格と一緒に取得したい資格の情報についても記載しているため、工事や建設の現場で働く人はぜひチェックしましょう。

玉掛け資格とは?

玉掛けとは、荷物をクレーンにかける作業のことです。工事や建設の現場では、大きくて重量のある物を移動させる機会が多くあります。荷物にクレーンのフックをかけて移動させ、完了したらフックを外す、という作業が玉掛けです。玉掛け資格は、玉掛け作業を行うために必要な資格です。

玉掛けは、一歩間違えば大事故につながりかねない責任ある作業です。玉掛け作業を行うためには、安全上の知識を有し、クレーンなどの種類や特徴、安全装置などについて理解しておく必要があります。そのため、玉掛け作業は、「玉掛け技能講習」を修了した有資格者でなければ行うことができません。

労働安全衛生法の第61条では、以下のように定められています。

■労働安全衛生法 第61条

事業者は、クレーンの運転その他の業務で、政令で定めるものについては、都道府県労働局長の当該業務に係る免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う当該業務に係る技能講習を修了した者その他厚生労働省令で定める資格を有する者でなければ、当該業務に就かせてはならない。

(引用:e-Gov法令検索「労働安全衛生法」引用日2022/04/30)

玉掛け資格には2つの種類があります。1つは「玉掛け技能講習修了」です。玉掛け技能講習修了は国家資格で、玉掛け技能講習修了者はつり上げ荷重1トン以上のクレーンやデリックなどの玉掛け作業に従事できるようになります。当記事では、基本的に玉掛け技能講習修了について詳しく解説します。

もう1つは「玉掛け特別教育修了」です。玉掛け特別教育修了者も玉掛け作業自体はできますが、つり上げ荷重1トン未満に限られます。

玉掛けの作業に求められる意識

玉掛けの作業では、常に安全への配慮を意識することが必要不可欠です。また、安全に玉掛け作業を進めるためには、周囲の状況をよく見渡す広い視野も必要になります。

玉掛け作業は資格があれば行えますが、安全に作業を行うには単に資格を持っているだけでは不十分です。玉掛けは大きくて重量のある物を扱う作業のため、1歩間違えば大事故につながりかねません。

玉掛けの作業現場で最も危険なのは、荷物の移動中にフックが外れてしまうことです。作業中にフックが外れた場合、荷物をスムーズに移動させることができません。何よりも、荷物の下に人がいたり機材があったりした場合、取り返しがつかない事故につながります。玉掛け作業では、玉掛けが正しく行われ、フックが外れる危険性がないかをしっかりとチェックしましょう。

また、玉掛け作業ではチームワークも大切です。玉掛け作業を行うドライバーと、クレーン運転者や周囲の作業員との連携が取れていないと、ミスが発生する危険性が高まります。玉掛け作業者はしっかりと声掛けや合図を行い、他の作業員とチームワークを取りながら作業を進めましょう。

玉掛け資格を取得するために必要な期間・費用

玉掛け資格の講習日程は、2~3日程度です。講習にかかる時間は15時間~19時間程度で、受講するコースや教習所によって変動します。受講すべきコースはすでに持っている資格によって変わるため、玉掛け資格を取得する際には注意してください。たとえば、玉掛け特別教育修了や移動式クレーンなどの運転士免許を取得している場合は、講習時間が短いコースに申し込める可能性が高いです。

玉掛け試験の講習内容は、実技と学科に分かれています。資格講習の流れとしては、学科講習でクレーンなどに関する知識や玉掛け方法、関連法などについて学び、学科試験を受け、その後に実技講習を受けるのが一般的です。実技講習では、学科で学んだ知識を踏まえて、実際にクレーンなどの玉掛け操作を行います。

玉掛け資格を取得するためにかかる費用は、16,000円~25,000円程度です。講習の費用は受講するコースによって変わる他、同じコースでも教習所によって異なります。受講する教習所を選ぶ際には、講習費用も比較して決めるのがおすすめです。

また、玉掛け資格の取得には通常2~3日かかりますが、土日だけでの受講も選択できる教習所もあります。働きながらでも無理なく取得できるため、平日の受講が難しい人も自分に合った教習所が見つかります。

玉掛け資格を取得する難易度

玉掛け資格は国家資格です。そのため、合格できるのか不安に思う人もいますが、玉掛け資格は特別取得が難しい資格ではありません。玉掛け資格の学科試験は、学科の講習の後に行われます。つまり大抵の場合、講習をしっかり聞いてさえいれば学科試験を通過することは可能です。

実技試験も難易度はさほど高くありません。玉掛け作業に使われるクレーンなどの機械は、基本的に複雑な操作を必要としないように作られています。もしクレーンなどが難しい操作を必要とする機械だった場合、操縦ミスが増え、重大な事故が多発する危険性があるためです。学科講習で身につけた知識を踏まえ、リラックスして実技試験に臨めば、実技試験の通過は難しくありません。

玉掛け資格の実技試験は、何人かのグループで行われるのが一般的です。他のメンバーと協力し、講習で身につけた知識などを活かして冷静に試験に臨みましょう。

玉掛け資格と一緒に取得したい資格

玉掛けは、荷物にクレーン車などのフックをかけて行うという作業内容です。そのため、実際には玉掛け資格だけではなく、クレーンなどの運転士免許も同時に必要になる場合が多くあります。工事や建設の現場で働く人は、玉掛け資格だけではなくクレーン運転資格も一緒に取得しておくのがベターです。

ここからは、玉掛け資格と一緒に取得しておくと現場で役立つ免許資格をいくつかご紹介します。中には、あらかじめ取得しておくと玉掛け資格の講習が一部免除になる資格もあるため、事前にチェックしておきましょう。

●クレーン・デリック運転士免許

クレーン・デリック運転士免許は、クレーンやデリックを運転・操縦するための免許です。この資格を持っていれば玉掛け資格の講習が一部免除となり、費用負担や講習時間が少ないコースを選べるようになります。クレーン・デリック運転士免許の講習を通して、すでに玉掛け作業に必要な力学や技術の知識を習得しているとみなされます。

●移動式クレーン運転士免許

移動式クレーン運転士免許は、吊り上げ荷重5トン以上の移動式クレーンを運転・操縦するための免許です。18歳以上であれば誰でも資格講習を受けられます。この資格もクレーン・デリック運転士免許と同様に、あらかじめ取得しておけば玉掛け資格の講習が一部免除になります。

●床上操作式クレーン運転技能講習修了者資格

床上操作式クレーン運転技能講習修了者資格は、床上操作式のクレーンに関する資格です。天井クレーンや橋形クレーンなどが床上操作式クレーンにあたり、オペレーターが荷物と一緒に移動するのが特徴です。床上操作式クレーンで荷物を運ぶ際にも玉掛け作業が発生するため、あらかじめ資格を取得しておけば玉掛け資格の講習が一部免除になります。

●小型移動式クレーン運転技能講習修了者資格

小型移動式クレーン運転技能講習修了者資格は、吊り上げ荷重5トン未満の移動式クレーンを運転・操縦するための免許です。資格を取得しておけば玉掛け資格の講習が一部免除になります。

●クレーン運転業務特別教育

クレーン運転業務特別教育は、吊り上げ荷重5トン未満のクレーンや、5トン以上の跨線テルハを運転する際に必要な資格です。

●フォークリフト運転技能講習

フォークリフトは倉庫などで運転する車両ですが、玉掛け作業が発生する場合もあります。フォークリフトを扱う会社に勤めている人は合わせて取得するのがおすすめです。

まとめ

玉掛け資格は、工事や建設の現場で玉掛け作業をするために必要な資格です。玉掛けとは、大きさや重量のある荷物にフックをかけて移動させ、またフックを外す作業のことで、玉掛け資格を取得していなければ従事することができません。

玉掛け資格は国家資格ですが、講習をきちんと受けていれば高い確率で合格可能です。他にクレーンの運転免許などを持っていれば現場で役立つ他、玉掛け資格の講習も一部免除になるため、可能であれば一緒に取得しておきましょう。

「グッジョブナビ」では、工場の正社員・派遣の仕事を紹介しています。玉掛け資格やクレーンに関する運転士免許など、持っている資格を生かせる仕事をお探しの人は、ぜひご利用ください。

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