アーク溶接の仕事には資格が必要?溶接に関する資格の種類も紹介

アーク溶接の仕事には資格が必要?溶接に関する資格の種類も紹介

アーク溶接は、金属加工や自動車部品の修理など、製造・建設の現場で欠かせない技術です。では、アーク溶接の仕事は資格がなくても従事できるのでしょうか。

この記事では、アーク溶接の資格の必要性や、資格取得の流れ、申し込みの方法などを詳しく解説します。また、アーク溶接の資格を生かせる職場や、アーク溶接以外の溶接に関する資格についても紹介します。アーク溶接の資格取得を目指している人はもちろん、すでに持っている資格を生かしたい人も、ぜひご覧ください。

アーク溶接に携わるには資格が必要

アーク溶接業務に携わるためには資格の取得が必須です。「アーク溶接等の業務に係る特別教育(アーク溶接等特別教育)」を受講し、修了証を取得する必要があります。アーク溶接は、労働安全衛生法および労働安全衛生規則で定められた「危険又は有害な業務」にあたるため、資格がない作業員をアーク溶接の仕事に携わらせた事業者は罰則の対象となります。

■労働安全衛生法 第59条

事業者は、労働者を雇い入れたときは、当該労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行なわなければならない。

(引用:e-Gov法令検索「労働安全衛生法」引用日2022/05/03)

■労働安全衛生法 第36条の3

アーク溶接機を用いて行う金属の溶接、溶断等(以下「アーク溶接等」という。)の業務

(引用:e-Gov法令検索「労働安全衛生法」引用日2022/05/03)

アーク溶接の資格は、一般的に「アーク溶接作業者」と呼ばれることがありますが、このような呼び方は通称です。正しくは「アーク溶接等の業務に係る特別教育の修了者」となります。

アーク溶接の資格を取得する方法

アーク溶接の資格を取得するための具体的な方法や、資格講習の内容について解説します。

●資格を取得するための条件

アーク溶接の資格を取得するために必要な、特殊な条件はありません。18歳以上の人なら誰でも特別教育講習を受けることができます。

●講習を受講する方法

アーク溶接の特別教育講習は、教習所や社団法人、技術系の専門学校など、さまざまな施設や団体で開催されています。各都道府県に受講センターや会場が設置されているため、行きやすい会場を探しましょう。

受講したい機関や会場を決めてから、指定の用紙や方法で講習の受講申し込みをします。受講機関に電話をしてから申し込み用紙をFAXする方法や、インターネットを使う方法など、申し込み方法は機関によって変わるため、確認の上で申し込みをしてください。

申し込みが完了すると受講票が届くため、講習当日は忘れずに持参しましょう。

●講習の内容・日数・費用

アーク溶接の資格の講習内容は、学科と実技に分かれます。学科講習で学ぶのは、アーク溶接に関する知識や溶接作業・溶接装置に関する知識、アーク溶接の関連法令などです。実技講習では、アーク溶接装置の取り扱いやアーク溶接作業の講習を受けます。

アーク溶接の資格の講習日程や講習費用は、受講する機関によって変わります。日数は、学科のみ受講の場合は1日半程度、学科と実技の両方を受講する場合は3日程度かかるのが一般的です。

費用については、受講料とテキスト代を含めて10,000円~25,000円程度で、機関やコースによってばらつきがあります。アーク溶接の資格講習の機関を探す際には、講習にかかる費用も比較検討するとよいでしょう。

●資格取得の難易度・将来性

アーク溶接の資格は比較的簡単に取得できます。学科・実技ともに、アーク溶接に関する知識や技術を身に着けるための講習であり、試験やテストは実施されないためです。ただし、実技では技術者の指導のもと、実際にアーク溶接を行うことになります。実技で躓かないためにも、必要な知識を学科講習でしっかり身につけましょう。

アーク溶接は、溶接の基本ともいうべき資格です。多くの金属を扱うことができるアーク溶接は、金属加工を扱うさまざまな職場で生かせるため、将来性が高い資格と言えます。

アーク溶接の資格を活かせる職場

アーク溶接は、金属加工や溶接工事を行う職種で需要が高い資格です。金属加工を行う仕事は幅広いため、アーク溶接の資格を持っていれば就職や転職を有利に進めやすいメリットがあります。

以下では、アーク溶接の資格を生かせる職場や仕事内容を具体的に紹介します。

●自動車工場

自動車部品などを加工あるいは修理する際に、アーク溶接は必須です。自動車部品の加工においては、素材となる金属を切断し、形を曲げた後に接合する工程が発生するため、アーク溶接の資格や技術が必要になります。

●造船所

造船にも溶接の工程が多く含まれているため、アーク溶接の需要が高いです。造船は、アーク溶接を必要とする仕事の中では規模が大きく、企業によっては数百メートルにわたるサイズの製品を加工することになります。

●建設現場

アーク溶接は、土木作業や工務店といった建設業界の現場でも必要になります。「建設事業主等に対する助成金」を利用している企業の場合、アーク溶接の資格講習の自己負担が軽減されるケースもあるため、事業者に確認するのがおすすめです。

この他にも、鉄工所や加工業など、さまざまな分野や職種においてアーク溶接の業務が行われています。アーク溶接の資格を持っていれば、アーク溶接機などの設備を保持している大手メーカーはもちろん、中小企業の工場勤務も即戦力として活躍できる可能性が高いです

溶接に関するさまざまな資格の種類

溶接に関する資格はアーク溶接だけではありません。溶接方法の種類によって、他にもさまざまな資格があります。アーク溶接の資格は溶接全般の入門的な資格であり、取得の難易度が比較的低い一方、他の溶接関連の資格の中には難易度が高い国家資格も存在します。

業務範囲を広げたい人は、アーク溶接資格以外の溶接資格の取得もおすすめです。ここでは、溶接に関する資格の中でも代表的なものを3つ紹介します。

ガス溶接技能者

ガス溶接技能者は、アーク溶接に次ぐ溶接工の入門的な資格です。ガスを使った溶接の仕事に携わる場合、ガス溶接技能者の資格が必要になります。

ガス溶接技能者の資格は国家資格であり、学科試験に合格する必要があるため、アーク溶接の資格取得と比較すれば資格難易度は高めです。しかし、ガス溶接技能講習の中で学科講習をしっかり受講し、内容を理解していれば合格することは難しくありません。

ガス溶接作業では、加熱性ガスを用いて炎で金属を溶かす作業方法で、金属の溶接や溶断を行います。アーク溶接に比べて溶接に時間がかかる点はデメリットですが、その分溶接物の状態を確認しやすく、薄い材料でも溶接しやすいというメリットもあります。

ガス溶接技能者もアーク溶接と同じく、自動車工場や造船所、鉄工所などさまざまな職種で需要が高い、将来性のある資格です。

ボイラー溶接士

ボイラー溶接士は、ボイラーや第1種圧力容器の製造・改造に関わる溶接作業を行うための資格です。ボイラーの溶接は、一歩間違えれば重大な事故につながる危険性のある作業のため、国家資格を取得していることが求められます。資格を取得するには学科試験・実技試験の両方を通過しなければならないため、アーク溶接やガス溶接技能者に比べて難易度が高めです。

ボイラー溶接士は、普通ボイラー溶接士と特別ボイラー溶接士の2種類に分かれています。特別ボイラー溶接士は普通ボイラー溶接士よりも1段上の資格で、取得すればすべてのタイプのボイラーの溶接業務に携わることが可能です。

ボイラー溶接には高度な知識や溶接技術が必要なため、ボイラーを製造する工場などではボイラー溶接士の資格者の需要は高くなっています。

溶接作業指導者

溶接作業指導者の資格は、自分が溶接作業をするための資格ではありません。溶接をする作業員への指導をするための資格です。具体的には、溶接の現場において、溶接の手順や条件、溶接事項などの指示、溶接法の指導、監督などを行います。

溶接作業指導者は日本溶接協会が認定する民間資格のため、合格率は非常に高いです。しかし、溶接作業員としての豊富な溶接経験や確かな知識を有していることが前提となっています。溶接実務に従事する者としてのキャリアアップを目指している人におすすめの資格です。

まとめ

アーク溶接の仕事に携わるためには、資格の取得が必須です。アーク溶接の資格講習はさまざまな機関で開催されており、申し込む機関やコースによって、資格取得にかかる期間や費用が変わります。自動車工場や造船所など、多くの職種で需要がある資格のため、就職や転職を考えている人はアーク溶接の資格を取得するのがおすすめです。

「グッジョブナビ」では、工場の正社員・派遣の仕事を紹介しています。溶接の資格を生かせる仕事をお探しの人は、ぜひご利用ください。

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