二級ボイラー技士とは?取得するメリットや勉強方法を解説

二級ボイラー技士とは?取得するメリットや勉強方法を解説

二級ボイラー技士とは、伝熱面積が25平方メートル未満であるボイラーを扱うために必要とされる国家資格です。二級ボイラー技士は、ビルメンテナンス業界など幅広い業界で活躍しています。

この記事では、二級ボイラー技士の仕事内容や、資格を取得するメリットについて、詳しく解説します。さらに、二級ボイラー技士の試験情報から試験に合格するための勉強方法についても紹介するので、二級ボイラー技士の資格に興味のある人は、ぜひご覧ください。

1.二級ボイラー技士とは?

二級ボイラー技士とは、伝熱面積(熱が伝わる部位の表面積)が25平方メートル未満のボイラーを扱うために必要な国家資格のことです。ボイラー技士の資格には、以下の3つの級があります。

  • 二級
  • 一級
  • 特級

二級ボイラー技士試験は、これらの中で最も初級の試験で、ボイラー技士になるための基本的な知識を学びます。小規模なボイラーの取り扱いにはなりますが、条件を満たせば取扱作業主任者になることも可能です。

ボイラーとは、温水や空調の熱を発生させるための装置のことです。ビルや工場など、さまざまな施設で用いられます。ボイラー技士は、これらのボイラーの管理や点検などを行う資格を持った人を指します。

さまざまな場所で使われるボイラーですが、火を取り扱うため、使い方を誤ると爆発などの大きな事故につながりかねません。そのような事故を防ぐという点で、ボイラー技士は重要な役割を果たしています。

1-1.二級ボイラー技士の仕事内容

二級ボイラー技士の主な仕事内容としては、以下の内容が挙げられます。

  • ボイラーの操作
  • ボイラーの保守点検
  • ボイラーのメンテナンス
  • ボイラーの修繕

作業現場としては、ビル管理会社やホテル、病院といった大型施設が多い傾向です。いずれも、給湯設備や空調管理にボイラーを使用しているため、ボイラー技士による管理が必要となります。

現場によっては、日報などの書類作成や、ボイラーが故障した際の修理業者への連絡なども任されることがあるでしょう。

2.二級ボイラー技士になる4つのメリット

二級ボイラー技士を取得するメリットは、大きく分けて下記の4つがあります。

(1)幅広い需要がある

ボイラーは多くの施設で使用されるため、多くの現場からボイラー技士の資格を必要とする求人が出されています。大型のボイラーを取り扱う場所だけではなく、小型ボイラーを使用する現場でも、ボイラーの知識があれば安心です。活躍の場が多岐にわたるため、未経験の人でも有資格者であれば転職する際に有利になることがあります。

(2)資格手当を得られる

会社によっては、資格を取得することで資格手当が月々の給与に上乗せされる場合があります。これは、社員のスキルアップを後押しするための会社の施策です。企業の規模が大きいほど、その金額が大きいと言われています。

(3)短期間でも資格を取得できる

二級ボイラー技士は、他の国家資格に比べ、短い勉強期間でも合格できます。範囲がそれほど広くないため、ボイラーの勉強が全く初めての人でも参考書を使って独学できるのが魅力です。人によっては、受験準備講習などの教室を利用することで、合格までの期間をさらに早められるでしょう。

(4)上位資格を目指せる

二級ボイラー技士を取得すると、上位資格である一級ボイラー技士の受験資格が与えられます。特級ボイラー技士に挑戦する際も、一級の資格を保持していることが条件です。そのため、上位資格にどんどんトライしていきたいと考えている人は、まず二級ボイラー技士に合格する必要があります。上位資格を取得すると業務範囲が増えるため、キャリアアップを目指す人はぜひ挑戦しましょう。

3.二級ボイラー技士の試験情報

二級ボイラー技士を取得するには、試験に合格するだけでなく、20時間の「ボイラー実技講習」を受講する必要があります。講習は、試験を受けていない人でも受講できるので、スケジュールに余裕がある時に済ませておきましょう。

「ボイラー取扱技能講習」もありますが、こちらはプラスで小規模ボイラーを取り扱う実務経験が4か月以上必要となるので注意してください。通常は、ボイラー実技講習を選ぶほうが無難です。

二級ボイラー技士には、特別な受験資格はありません。本人確認書類さえ準備できれば、誰でも受験することができます。

ここでは、二級ボイラー技士の試験内容や勉強時間について詳しく解説します。勉強スケジュールを考えるための参考にしてください。

3-1.二級ボイラー技士の試験科目

二級ボイラー技士の試験科目は全部で4つあります。10問ずつの出題で、配点は各科目100点の計400点満点です。問題はマークシート形式となっており、5つの選択肢の中から正しいものを1つ選んで回答します。

【二級ボイラー技士の試験科目・範囲】

試験科目 範囲
ボイラーの構造に関する知識 熱及び蒸気、種類及び型式、主要部分の構造,附属設備及び附属品の構造、自動制御装置
ボイラーの取扱いに関する知識 点火,使用中の留意事項,埋火,附属装置及び附属品の取扱い、ボイラー用水及びその処理、吹出し,清浄作業、点検
燃料及び燃焼に関する知識 燃料の種類、燃焼方式、通風及び通風装置
関係法令 労働安全衛生法、労働安全衛生法施行令及び労働安全衛生規則中の関係条項、ボイラー及び圧力容器安全規則、ボイラー構造規格中の附属設備及び附属品に関する条項

引用:一般社団法人日本ボイラ協会「二級ボイラー技士免許の取得について」引用日2023/02/15

合格には、それぞれの科目ごとに4問以上正解した上で、全40問中24問以上正解することが条件です。3科目で満点を取っても、1つの科目で4問未満の正解数である場合、不合格になるので注意してください。

試験時間は13:30〜16:30の3時間です。時間が余ってしまう人が大半ですが、残りの時間でケアレスミスがないかしっかりと見直しましょう。

合格発表日は試験会場によって異なりますが、試験から1週間ほどで結果が出ることが多い傾向です。

出典:公益財団法人安全衛生技術試験協会「受験資格(二級ボイラー技士)」

3-2.二級ボイラー技士の合格率・必要な勉強時間

二級ボイラー技士の合格率は、令和3年度で53.4%となっており、受験する人の半数以上が合格しています。しっかりと試験対策を行えば、初めて挑戦する人でも十分合格できる難易度です。

【令和3年度における二級ボイラー技士の合格率】

受験者数(人) 合格者数(人) 合格率(%)
24,260 12,953 53.4

引用:公益財団法人安全衛生技術試験協会「試験実施統計」引用日2023/02/15

合格するために必要な勉強時間は、業界経験者かそうでないかで変わってきます。経験があったり、関連する資格を持っていたりする人は50時間程度が目安となりますが、初学者であれば100〜200時間は勉強時間として確保しておいたほうがよいでしょう。

初学者の人が3か月の勉強期間で合格するためには、1日2時間ほどの勉強時間が必要です。自分のライフスタイルを振り返って、1日にどれくらい勉強時間が取れるかを確認し、しっかりと学習スケジュールを組んで勉強をスタートさせてください。

4.二級ボイラー技士になるための勉強方法

二級ボイラー技士の取得は極端に大変なわけではありませんが、誤った勉強方法で無駄な時間を割いてしまうと合格への道からは遠ざかってしまいます。いかに効率的に勉強できるかがポイントです。

ここでは、二級ボイラー技士の試験に合格する効果的な勉強方法を解説します。二級ボイラー技士の合格を目指す人は、ぜひ実践してみてください。

4-1.テキストを中心に全体像を把握する

まず二級ボイラー技士のテキストを一通り最後まで読んでみましょう。内容を理解していない段階で問題演習に取り組んでも、問題の意味すら分からず時間の無駄になってしまいます。一度目の通読では、テキストの内容をしっかり理解することに集中してください。

ただ、この時点ですべて丸暗記する必要はありません。内容は、後から問題演習を解いていくうちに、自然と身についていきます。余裕があれば、より理解を深めるために2〜3周通読するとよいでしょう。

4-2.問題演習を繰り返す

テキストを読んで内容が把握できたら、次は問題演習を繰り返します。試験日までに1冊の問題集を3周するのが理想です。

中には問題集を一通り解いただけで満足してしまう人もいますが、それだけでは苦手分野が克服できません。頻繁に間違えてしまう問題があれば何度も解いて、確実に正答率をアップさせましょう。

試験前に、一度過去問に取り組んでおくのもおすすめです。過去問と同じ問題が本番で出題されることがあるので、ぜひチェックしてください。

4-3.テキストと問題集を行き来する

問題集で分からないところがあれば、それをそのままにせず、しっかりと問題集の解説を読んで理解することが大切です。解説を読んでも分からない場合は、テキストに戻って疑問をなくしましょう。

また、問題集の解答を丸暗記するだけではなかなか力がつきません。疑問点があればその都度テキストを読み、理解を深めることで、合格への道が近づいていきます。

時間に余裕がある人は、問題のすべての選択肢をよく読み、それぞれの選択肢の正誤について理由を調べていきましょう。1つの問題から得られる情報が増えるため、さらに効果的です。

まとめ

二級ボイラー技士の主な仕事内容は、ボイラーの操作・保守点検・修繕など、多岐にわたります。ビルメンテナンス業界をはじめとした、さまざまな業界で活躍できる資格です。

二級ボイラー技士の試験合格率は約50%であり、しっかりと対策を行うことで資格を取得できます。試験対策としては、テキストを中心に全体像を把握するように心がけましょう。また、問題演習を繰り返すことで、試験問題になれることが可能です。問題集とテキストを行き来しながら勉強を進めることで、しっかりと理解を深められます。

ビルメンテナンス業界など、ボイラーを扱う業界に興味のある人は、ぜひ二級ボイラー技士の資格取得に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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