NC旋盤の仕事に役立つ資格とは｜旋盤工の将来性も解説

NC旋盤は、金属などを切削する工作機械です。機械部品メーカーや金属製品メーカーで、NC旋盤についてのスキルを持った方が活躍しています。就職・転職でNC旋盤に関するスキルをアピールするためには、関連する資格を取得することがおすすめです。

そこで当記事では、NC旋盤の仕事に役立つ資格として知られている「機械加工技能士」について紹介します。さらに、旋盤工として働く将来性についても取り上げるため、旋盤工の仕事に興味を持っている方は、ぜひご覧ください。

NC旋盤は、金属などを切削するための工作機械です。加工物を土台に固定して回転させながらバイトと呼ばれる刃物を押し当て、加工物を円筒形や円錐形などに切削したり、穴あけやねじ切りなどの加工を施したりします。また、加工物ではなくバイトを回転させるNCフライス旋盤もあります。

NC旋盤加工を行う人は「NC旋盤工」と呼ばれ、主な活躍の場は金属製品メーカーなどです。NC旋盤工になるためには、専門資格が必ずしも求められるわけではありませんが、知識や経験が必要となる高度な職業と言えます。

◆NC旋盤の技術的特徴

NC旋盤とは異なり、プログラムを使わず手動で加工する旋盤は「汎用旋盤」と呼ばれます。設計図をもとに手作業でハンドル操作やバイト交換などを行う汎用旋盤は、新規部品の製作や設計変更に際してプログラム作成や修正の手間がかかりません。そのため、大量生産よりもオーダーメイド品や試作品などの小ロット生産に適しています。

手作業が基本となる汎用旋盤の操作には、高い技術力と経験が必要です。一方で一つひとつの工程を確認しながら作業できるため、 加工中にミスが発生しても比較的スムーズに対応できます。経験を積んで「加工中に工具が破損しそう」などの感覚をつかめれば、早い段階でトラブルを防ぐことも可能です。加えて、NC旋盤で対応しにくい特殊素材の加工にも汎用旋盤が役立ちます。

NC旋盤と汎用旋盤にはそれぞれメリットとデメリットがあり、どちらが良いか悪いかを一概に決めることはできません。また、1つの部品を加工する際にNC旋盤と汎用旋盤の両方を使うこともあります。NC旋盤と汎用旋盤の一方のみを扱う現場や分業制になっている現場もありますが、両方の操作スキルを身につけることで選択肢を広げやすくなるでしょう。

NC旋盤工の仕事に特別な資格や免許は必要ないものの、「機械加工技能士」の資格を持っていれば、NC旋盤工の仕事を有利に進められることがあります。機械加工技能士は金属加工の技能レベルを証明する国家資格であり、試験実施機関は都道府県の職業能力開発協会です。学歴や職業訓練歴などによって若干変動するものの、各級の基本的な受験資格は次の通りです。

試験は学科試験と実技試験に分かれており、実技試験では次の作業から受験したい分野に関するものを選択します。

●機械加工技能士・実技試験の作業

【1級・2級】

• 普通旋盤作業
• 数値制御旋盤作業
• フライス盤作業
• 数値制御フライス盤作業
• 平面研削盤作業
• 円筒研削盤作業
• 心無し研削盤作業
• ホブ盤作業
• マシニングセンタ作業

【3級】

• 普通旋盤作業
• 数値制御旋盤作業
• フライス盤作業
• 平面研削盤作業
• マシニングセンタ作業

引用：中央職業能力開発協会「令和4年度（前期）実施職種一覧・実技試験概要」

各作業には所要時間の目安となる「標準時間」が定められており、「打切り時間」になると未完成でも作業終了となります。標準時間を超えても作業は続行できますが、超過時間に応じて減点される仕組みです。なお、作業によっては標準時間・打切り時間はなく、単に制限時間である「試験時間」となっているものもあります。

学科試験は正誤を問う真偽法及び選択問題で構成されており、3級の所要時間は1時間、2級以上の所要時間は1時間40分です。

続いて、2022年度前期に行われた数値制御旋盤作業及び知名度の高い普通旋盤作業、マシニングセンタ作業、フライス盤作業の試験内容について解説します。

NC旋盤との関わりが深い数値制御旋盤作業では、切削加工に加えてプログラムの作成や入力、チェック作業なども評価されます。2級以上では複数個の材料を用い、ねじ部などで組み付けられるよう加工します。

・1級（標準時間4時間、打切り時間4時間30分）

・2級（標準時間4時間、打切り時間4時間30分）

・3級（標準時間2時間30分、打切り時間3時間）

2級以上では、部品製作に加えて加工工程やプログラミングなどの知識を問う計画立案等作業も評価されます。計画立案等作業試験の所要時間は、いずれも1時間30分です。

普通旋盤を用いて材料を加工し、はめ合わせのできる部品を2個または3個製作します。

・1級（標準時間3時間30分、打切り時間4時間）

・2級（標準時間3時間、打切り時間3時間30分）

・3級（標準時間2時間、打切り時間2時間30分）

マシニングセンタ（以下、MC）は、複数の工具を自動で切り替えながらフライス削り、穴あけ、ねじ立てなどさまざまな加工を行う機械です。学科試験ではプログラミングや作業時間の見積など、実技試験ではプログラムのチェックや材料の寸法測定などを行います。

・判断等試験（1、2級）

・計画立案等作業試験（1、2級）

・製作等作業試験（3級）

立フライス盤を用いて材料を加工し、はめ合わせのできる部品を2個製作します。

・1級（標準時間3時間30分、打切り時間4時間）

・2級（標準時間3時間、打切り時間3時間30分）

・3級（標準時間2時間、打切り時間2時間30分）

旋盤工はものづくり分野における専門職であり、高度なスキルや資格を得て年収アップや独立起業を目指すことも可能です。日本の高いものづくり技術は海外からも一目置かれており、また近年は人材不足や後継者不足に悩む金属加工メーカーも少なくありません。そのため、今後も旋盤工に対して一定の需要が期待できます。

大量生産品の加工には、効率よく加工できるNC旋盤やNCフライス盤などを用いることが多々あります。これからNC旋盤工として活躍したい場合は、特にプログラミング関連の知識を身につけておくことでより有利に活動できるでしょう。さらに汎用旋盤の操作にも慣れておくことで繊細な手仕事が可能となり、仕事の幅がいっそう広がると期待できます。

NC旋盤工は、金属などを切削するための工作機械であるNC旋盤を操作する人です。金属製品メーカーや機械部品メーカーで、高度なスキルを持ったNC旋盤工が活躍しています。NC旋盤はプログラムに沿って加工を行うため、手作業が基本の汎用旋盤とは異なるスキルが要求されます。

旋盤工として活躍する上では、機械加工技能士の資格を取得することがおすすめです。機械加工技能士の資格がなくても旋盤工としては働けますが、資格を持っていることで自らのスキルを証明するために役立ちます。旋盤工は、ものづくり分野における専門職として、今後も高い需要が期待される将来性の高い仕事と言えるでしょう。