教師になるには?必要な資格・なり方を解説

教師になるには?必要な資格・なり方を解説

教師(学校の先生)になるためには、指定された単位を得た上で大学や大学院などを卒業して、教員免許を取得する必要があります。教員免許を取得した上で、地方自治体などが実施する教員採用試験に合格することで、学校の先生になることが可能です。

この記事では教師のなり方について、教員免許の種類を中心に詳しく解説します。教師に向いている人の特徴についても取り上げるので、将来的に学校の先生を目指している方は、ぜひ参考にしてください。

教師になるには教員免許が必須

教師になるには、大学や短期大学に進学し、教員免許状を取得する必要があります。文部科学大臣が認定する大学や短期大学、大学院において、指定された学部学科で所定単位の取得が必要です。

教員免許は、学校種や担当する科目によって異なり、必要な単位数も異なります。教員免許を取得できる大学や短大については、文部科学省のホームページの「教員免許状 (普通免許状)を取得可能な大学等」から確認できます。

また、教員免許状取得後、すぐに教師になれるというわけではありません。公立学校であれば、都道府県などの教育委員会が実施している教員採用試験に合格する必要があります。

教員採用試験は、筆記、論文、面接、実技、適性という5つの試験で構成されています。合格者が教員候補者として成績順に名簿に記載され、欠員や異動に応じて採用される仕組みです。なお、私立学校の場合は、各学校の採用試験に合格する必要があります。

普通免許状

普通免許状は、教員免許として最も一般的で、多くの方が取得するものです。教員養成課程のある4年制大学や短期大学などで必要な単位を取得して卒業し、各都道府県の教育委員会に授与申請するという流れで取得できます。

普通免許状は、授与された自治体に限らず、日本全国で有効な教員免許です。また、普通免許状には3つの区分があり、取得した課程や卒業した教育機関によって下記のように分かれています。

  • 二種免許状
  • 一種免許状
  • 専修免許状

二種免許状は、専門学校や短期大学において単位を取得する必要があります。また、大学に進学し、教職課程を履修することで一種免許状が取得可能です。さらに、大学院まで進学して学ぶと専修免許状を取得できます。

上記のように、免許状の区分によって名前は異なりますが、実際に教育現場で指導可能な範囲に違いはありません。二種免許状や一種免許状などの種類に関係なく、学級担任や授業などを受け持つことができます。ただし、私立学校の場合は、採用概要に一種免許または専修免許所持と記載されているケースがあるため、注意が必要です。

特別免許状

特別免許状は、教員免許を所持していないものの、専門知識や経験が豊富な社会人を教育現場へ迎え入れることを目的に授与されるものです。

特別免許状を授与されるには、社会人経験がある人が「教育職員検定」に合格する、教員の任命や雇用したい人の推薦を得るなどの要件をクリアする必要があります。加えて、教員の職務に必要な熱意や判断力を有するかどうかも重要なポイントです。

臨時免許状

臨時免許状は、急遽教員の欠員が出てしまった場合や募集しても普通免許状を持つ人材が採用できなかった場合に、例外的に授与されるものです。

臨時免許を取得するには、各自治体の教育委員会が実施する教育職員検定に合格する必要があります。臨時免許状が授与された場合、一般的な教諭ではなく助教諭、養護助教諭として期限付きで勤務します。

小学校・中学校・高校で分かれている教員免許

教員免許を持っていれば、すべての学校で勤務できるわけではありません。普通免許状は、以下の通り、小学校・中学校・高校で種類が区別されています。例えば、小学校の一種免許状だけを持っている人は小学校では勤務できるものの、中学校や高校では勤務できません。

免許状の区分によって一種・二種など名前も区別されています。しかし、一種に比べて二種が不利などのルールはありません。

  専修免許状
小学校 教科で分かれていない
中学校 国語、社会、数学、理科、音楽、美術、保健体育、保健、技術、家庭、職業、職業指導、職業実習、外国語、宗教
高校

国語、地理歴史、公民、数学、理科、音楽、美術、工芸、書道、保健体育、保健、看護、看護実習、家庭、家庭実習、情報、情報実習、農業、農業実習、工業、工業実習、商業、商業実習、水産、水産実習、福祉、福祉実習、商船、商船実習、職業指導、外国語、宗教

*一種のみ 柔道、剣道、情報技術、建築、インテリア、デザイン、情報処理、計算実務

  一種免許状
小学校 教科で分かれていない
中学校 国語、社会、数学、理科、音楽、美術、保健体育、保健、技術、家庭、職業、職業指導、職業実習、外国語、宗教
高校

国語、地理歴史、公民、数学、理科、音楽、美術、工芸、書道、保健体育、保健、看護、看護実習、家庭、家庭実習、情報、情報実習、農業、農業実習、工業、工業実習、商業、商業実習、水産、水産実習、福祉、福祉実習、商船、商船実習、職業指導、外国語、宗教

*一種のみ 柔道、剣道、情報技術、建築、インテリア、デザイン、情報処理、計算実務

  二種免許状
小学校 教科で分かれていない
中学校 国語、社会、数学、理科、音楽、美術、保健体育、保健、技術、家庭、職業、職業指導、職業実習、外国語、宗教
高校 なし

出典:文部科学省「参考資料3 普通免許状の種類について」

上記の小学校・中学校・高校の区分ごとに、普通免許を取得する際に必要な科目などが異なります。小学校・中学校・高校の先生になるには、どのようにすればよいのか、具体的に解説します。

小学校の先生になるには

普通免許状で小学校教師になるためには、下記の免許を1つ取得することが必要です。

  • 小学校教諭専修免許状(教科に関する科目・教職に関する科目など合計91単位)
  • 小学校教諭一種免許状(教科に関する科目・教職に関する科目など合計67単位)
  • 小学校教諭二種免許状(教科に関する科目・教職に関する科目など合計45単位)

出典:文部科学省「2.(6)教員免許状取得に必要な科目の単位数・内訳」

小学校教諭専修免許状は、大学院修士課程で所定の科目を修了し、卒業することで取得できます。一種免許状は4年制大学、二種免許状は専門学校または短期大学において、所定の科目を修得して卒業すると取得可能です。

さらに、小学校教諭免許は通信制大学や科目履修生制度、小学校教員資格認定試験に合格する方法でも取得できます。小学校では担任がすべての教科を教えるため、さまざまな科目を教えられる指導力、クラスをまとめるリーダーシップやコミュニケーション能力が必要です。

中学校の先生になるには

中学校の先生は専門教科の授業を行うため、教科別に教員免許状があります。普通免許状で中学校の先生になる場合も、下記のうち1種類の免許取得が必須です。

  • 中学校教諭専修免許状(教科に関する科目・教職に関する科目など合計91単位)
  • 中学校教諭一種免許状(教科に関する科目・教職に関する科目など合計67単位)
  • 中学校教諭二種免許状(教科に関する科目・教職に関する科目など合計43単位)

出典:文部科学省「2.(6)教員免許状取得に必要な科目の単位数・内訳」

中学校教諭専修免許状は大学院修士課程で、一種免許状は4年制大学で、二種免許状は専門学校または短期大学で所定科目を修得・卒業することで取得できます。中高一貫校で働く場合には、高校教諭の免許も必要になるケースがあるため注意が必要です。

高校の先生になるには

普通免許状で高校教師になるためには、次のうち1種類の免許を得る必要があります。

  • 高等学校教諭専修免許状(教科に関する科目・教職に関する科目など合計91単位)
  • 高等学校教諭一種免許状(教科に関する科目・教職に関する科目など合計67単位)

出典:文部科学省「2.(6)教員免許状取得に必要な科目の単位数・内訳」

高校で教える教科は中学よりも専門性が高いため、二種免許状がない点が特徴です。そのため、高校の先生を目指す場合は、4年制大学または大学院を卒業する必要がある点に注意しましょう。

教師に向いている人の特徴

教師を目指して教職課程に進みたいものの、憧れだけでやっていけるのか、不安に思う方も多いのではないでしょうか。自分が教育者に向いているのかどうかを知っておきたい方に向けて、小学校や中学校、高校の先生に適している人の特徴2つを詳しく解説します。

子どもに教えることが好きな人

教師は子どもと長い時間向き合い、さまざまなことを教える仕事です。子どもが好きで、教えることに楽しさとやりがいを感じられる人は、教師の仕事に向いているでしょう。

児童や生徒の性格、理解のスピードなどには個人差もあります。どのように授業を工夫すれば理解してくれるか、どのような教材を活用するとよいかを積極的に試行錯誤できるかが、子ども達と向き合う際に重要な要素です。

また、部活や行事などの学校生活全般、友人関係といった授業以外の場面で子ども達を見守るのも教師の重要な役割です。子どもが好きで、成長をサポートしたいと思える人は教師の仕事自体を楽しめるでしょう。

公平・公正に人に接することができる人

小学校や中学校、高校には、さまざまな子どもがいます。一人ひとりの子どもを尊重し、公平・公正に指導する姿勢がとても重要です。教師自身も人間ですが、指導や評価に私情を持ち込む不適切な行為は健全な教育を損なうため、子ども達の健やかな成長のためにも避けなければなりません。

児童や生徒、保護者と信頼関係を築くためには、学校現場のあらゆるシーンにおいて人と平等に接する姿勢が大切です。道徳心にもとづいて、良いことと悪いことを教える立場にある責任を自覚し、子どもの将来を考えて接することができる人は教師という仕事に適性があるでしょう。

まとめ

学校の先生になるには、教員免許を取得する必要があります。教員免許には、専修免許状・一種免許状・二種免許状の3種類があります。二種免許状では高校の先生になれない点を除いては、教師としての業務内容の面では基本的に大きな違いはありません。

子どもに教えることが好きな人や、公平・公正に人に接することができる人は、教師としての適性があります。特に、子どもや保護者との信頼関係を構築していくためには、誰に対しても分け隔てなく接することが大切です。自分の教師としての適性を見極めた上で、教師の道に進むか検討しましょう。

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