警察官になるには?採用試験の内容や警察学校についても解説

警察官になるには?採用試験の内容や警察学校についても解説

警察官には採用される機関によって、都道府県警察・警察庁・皇宮警察本部の3つの種類に分かれます。多くの警察官は、これらの機関の中で都道府県警察の職員として勤務しています。都道府県警察は、その自治体の地方公務員です。

この記事では、警察官になる方法について、都道府県警察の採用試験を中心に詳しく解説します。さらに、採用後に配属される警察学校の内容や、警察官を目指す上で有利な大学・専門学校の選び方についても取り上げるため、ぜひ参考にしてください。

警察官の種類

警察官の種類は、採用する機関によって都道府県警察・警察庁・皇宮警察本部の3つに分けられます。いずれも公務員ですが仕事内容は異なり、採用試験や合格後に教育を受ける機関も異なります。ここでは、警察組織の種類や主な仕事内容、組織内にある主な部署を紹介するので、参考にしてください。

都道府県警察(地方公務員)

警察官の大部分を占めるのが、都道府県警察に所属する地方公務員です。各都道府県には、警察本部と警察署があります。勤務しているのは、各自治体が実施する採用試験に合格した地方警察職員です。ニュースやドラマなどでよく耳にする警視庁は、東京都の警察本部です。

警察学校卒業後は、交番勤務からキャリアが始まります。警視正以上の階級に昇進すると、地方公務員から国家公務員になります。

交通部や地域部、刑事部、生活安全部などさまざまな部署があり、交番や駐在所は警察署の下部組織です。駐車禁止やスピード違反を取り締まる交通部や、交番に勤める警察官が所属する地域部、犯罪捜査に関わる刑事部など、部署によって勤務内容は大きく異なります。

警察庁(国家公務員)

警察庁の主な仕事は、全国にある都道府県警察の指揮をとることです。国家公務員試験に合格後、警察庁に採用された人が所属しています。国家公務員総合職試験に合格した人は「警部補」、一般職試験に合格した人は「巡査部長」からキャリアが始まるため、「キャリア」や「準キャリア」と呼ばれます。警察庁採用者の初任教育を担うのは警察学校ではなく、警察大学校です。

警察庁の職員は、基本的に交番などの現場実務に携わることはありません。警察庁の内部には刑事局や生活安全局、交通局、警備局などの部局があり、広域組織犯罪に対処するため都道府県警察を指揮監督します。公安部門の指揮も警察庁の役割です。

皇宮警察本部(国家公務員)

警察庁の附属機関である皇宮警察本部の職員は、皇宮護衛官です。警察官ではありませんが、警備や護衛など警察官と類似する職務を担当する国家公務員となります。内部組織は護衛や警備、警務の3部門に分かれており、天皇皇后両陛下や皇族の護衛、皇居や御所などの警備が主な任務です。勤務地は東京や京都、栃木など1都1府4県にあります。

出典:皇宮警察本部「皇宮警察本部概要」

皇宮警察本部に所属するには、皇宮護衛官採用試験に合格しなければなりません。合格者は皇居内にある皇宮警察学校に入校し、警察実務だけではなく茶道や華道など幅広い分野の知識を学びます。

警察官になるには採用試験に合格する必要がある

警察官になるには、まず採用試験に合格する必要があります。現場勤務を担う都道府県警察は地方公務員のため、自治体によって試験の傾向や合格倍率、身体要件なども少し異なります。ここでは、警視庁採用センターの公表内容を参考に採用区分や受験資格、試験内容を紹介するので、ぜひ確認してください。

採用区分・受験資格

警視庁が公表している令和5年度の採用区分や受験資格を紹介します。

(1)Ⅰ類(大卒程度)

令和5年度の採用試験でⅠ類を受験できる資格のある人は、以下の通りです。

  • 昭和63年4月2日以降に生まれて、大学(短期大学を除く)を卒業している人
  • 昭和63年4月2日以降に生まれて、令和6年3月までに大学を卒業する見込みの人
  • 昭和63年4月2日~平成14年4月1日の間に生まれて大学卒業程度の学力を有する人

(2)Ⅱ類(短大卒程度)

近年はⅡ類の採用実績はほとんどなく、警視庁採用サイトでもⅡ類の記載はありません。短大卒で警察官になりたい方はⅢ類を受けたり、試験対策をしてⅠ類を受けたりします。

(3)Ⅲ類(高卒程度)

令和5年度の採用試験でⅢ類を受験できる資格のある人は、以下の通りです。

  • 昭和63年4月2日以降生まれで、高等学校を卒業している人
  • 昭和63年4月2日以降生まれで、令和6年3月までに高等学校を卒業する見込みの人
  • 昭和63年4月2日~平成18年4月1日の間に生まれて高校卒業程度の学力を有する人

出典:令和5年度警視庁採用サイト「採用案内」

試験内容

警察官になるには、採用試験の一次試験と二次試験の両方に合格する必要があります。試験日程や内容は自治体によって異なりますが、合格するために必要となる知識や対策は共通しています。

(1)一次試験

一次試験は、一般教養として人文科学や社会科学、数的処理などを問う筆記試験と論作文試験です。知識を問う筆記試験とは異なり、論作文試験では個人の経験や意見を表現する力が求められます。

さらに一次試験では身体検査や適性検査も実施され、警察官としての任務に適しているか判断されます。柔道や剣道の段位、語学の資格などが、各自治体が設けた基準に応じて加点されるのも一次試験です。

(2)二次試験

面接や体力試験でさらに警察官としての素質を問われるのが、二次試験です。一般的には個人面接ですが、自治体によっては集団面接やディベートと呼ばれる集団討論を行う場合もあります。自治体の傾向に合わせて対策を進めましょう。一次試験とは異なる内容の身体検査や適性検査を実施する自治体も少なくありません。

体力試験では、腕立て伏せや反復横跳び、バーピーテストなどが行われます。種目や合格基準が公表されている自治体もあるため、事前に確認するとよいでしょう。

採用後に配属される警察学校とは

警察官採用試験合格者は、警察学校に配属されます。期間は高等学校卒業相当で10か月、大学卒業相当で6か月間です。全寮制で外出にも制限がありますが、警察官としての給料が支給されます。

学習内容は座学や実務、武道など多彩です。座学では捜査・警備・交通などの実務や法学、一般教養などを学び、実技では逮捕術や応急処置、拳銃操作などを学びます。体育や部隊活動に加えて、柔道や剣道の習得も必須です。女性の場合は合気道も選択肢に入ります。

規律意識や仲間との協調性を高めるため、さまざまな場面で連帯責任が課せられるのも特徴です。

警察官になる上で有利な学校の選び方

警察官を目指す場合、採用試験対策を行える学校を選ぶのがおすすめです。ここでは、警察官を目指す方におすすめできる学校の選び方を紹介します。

(1)大学

刑法など法律の知識が得られる法学部が採用試験合格に有利と言われています。しかし、昼間は大学に通いながら、夜間は専門学校で試験対策する方法もあるため、法学部以外からの採用試験合格も珍しくありません。

大学によっては警察官になるための講座やゼミなどを開設している場合もあり、効率的に試験対策が行えます。

(2)高校

卒業する高校や理系文系の選択によって、警察官になる上で有利不利が分かれるわけではありません。スポーツ大会の出場歴や語学の資格、武道の段位などは警察官採用試験の加点対象になるため、積極的に部活動や勉学、資格取得などに励みましょう。

(3)専門学校

公務員講座を開講している専門学校の中には、警察官コースが設けられている場合もあります。OBやOGを招いて講義を実施する専門学校もあり、モチベーション向上につながります。筆記試験対策だけではなく面接試験対策も行えるため、落ち着いて試験当日を迎えられるでしょう。

まとめ

警察官になるには、採用試験に合格してから配属される警察学校を卒業する必要があります。警察官採用試験の内容は、警察官を採用する機関によって異なります。警察官を採用する機関は、都道府県と国です。

警察官になるには、高校や大学を卒業する必要があります。採用において特別に有利な学部・学科が存在するわけではありませんが、法学部などの学生が有利であると考えられています。また、専門学校では警察官コースが設けられている場合があり、警察官を目指す場合はおすすめです。

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