不況に強い介護の仕事|景気に左右されない理由からおすすめ資格まで

不況に強い介護の仕事|景気に左右されない理由からおすすめ資格まで

介護業界は、「景気に左右されにくく、不況に強い仕事」といったイメージを持たれやすく、就職・転職を決意する人が近年増加傾向にあります。中には、少子高齢化の進展や介護人材不足といったニュースを見聞きし、「今こそ、介護の仕事に挑戦するタイミング」といった考えに到る人も存在します。

そこで今回は、介護業界への就職・転職を考えている人に向けて、介護の仕事の現状や就職・転職に役立つ資格について詳しく解説します。

1.介護業界が不況に強い理由

一般的に「不況に強い産業」とは、人の暮らしに深く関わる産業や生命に関する産業、公共性の高い産業を意味します。人の暮らしに深く関わる産業とは、飲食業界や不動産業界、通信業界のように、「サービス運営企業が存在しなければ、多くの人が困惑する」産業です。

生命に関する産業とは、病院や保険会社など、健康を維持するために欠かせない産業を意味します。公共性の高い産業とは、小学校や大学、障害福祉サービス事業所など、政府の施策と密接な関わりを持ち、経営する業種です。

介護施設の利用者は、その施設が存在しなければ、日々の暮らしが立ち行きません。近親者の介護の負担は増大し、正社員の仕事を辞める・派遣社員など時短勤務の認められる雇用形態に変更する、といった決断を迫られる場合もあるでしょう。

専門知識を持たない家族が入浴介助や排泄介助を行うことは、事故やケガのリスクを高める行為です。そのため、専門知識を保有する事業者や地方自治体の担当者に相談し、介護サービスを利用します。

さらに、高齢社会対策は、内閣府の推進する共生社会政策の一部です。介護保険サービスを提供する事業者はサービス利用料の一部を市区町村から受け取り、収入基盤を確立します。

このように「不況に強い産業」の要素を兼ね備えた介護・福祉業界は、長期・安定キャリアの実現を目指す人に人気が高く、狙い目の業界です。

1-1.高齢化社会の進展で需要は増え続ける

介護業界は、高齢化社会の進展によって、より一層の成長が見込まれます。令和元年版高齢社会白書は「令和18年には3人に1人・令和47年には2.6人に1人が65歳以上の時代が来る」と推計しました日本の高齢化率は世界各国と比較して高く、解決の糸口を見出すことが困難である状況です。
(出典:内閣府「令和元年版高齢社会白書」

高齢化社会が進展する以上、介護サービス利用者が皆無となる可能性は、限りなく低いと言えます。高齢者が安心して生活できる街づくりを行うためには、社会福祉士やケアマネージャー、介護事務スタッフ、生活相談員など、介護・福祉関連職種で働く人の手助けが不可欠です。

実際、介護業界で働く人の数は、高齢化社会の進展に伴い、一貫した上昇を見せてきました。それでもなお労働力が十分であるとは言えず、深刻な人材不足が継続している状況が現状です。

2.不況に強い介護業界の問題点

どれほど成長性が高く、安定的な働き方の期待される専門職にも、他の職種と比較した時の問題点は存在します。問題点をふまえた上で就職・転職を決意しなければ、後悔する結果となりかねません。

ここでは、介護業界へ就職・転職するにあたり、把握しておきたい問題点を紹介します。

2-1.他の産業に比べて給料が低い

まず、介護業界は他の産業と比較し、給料が低い業界であるという点です。厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査」によると、介護職員の賞与込み給料の平均値は、約30万円です。現状では、全産業の平均値・約38.7万円を約8.7万円下回ります介護労働者のうちの約4割は「仕事内容のわりに賃金が低い」と考え、労働条件や仕事の負担に悩みを抱える状況であることは事実です。
(出典:厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査」

ただし、介護職員の待遇は、政府主導の介護職員処遇改善施策の恩恵を受け、今後の改善が見込まれます。平成30年9月時点の常勤介護職員の平均給料(月給)は、平成29年9月時点と比較し、1万円以上の改善を見せました
(出典:厚生労働省「社会保障審議会介護給付費分科会 介護事業経営調査委員会(第 28 回)議事次第」

管理職の給料はもちろん、勤続1年目や2年目の労働者の給料も改善を見せたため、これから就職・転職する人にとっても追い風と言えるでしょう。

介護福祉資格取得を目指す人のための実務者研修受講支援など、給料などの引き上げ以外の処遇改善を積極的に行う事業者も存在します。少しでも待遇が良く、福利厚生制度の充実した求人募集を探すことで、給料事情に関する不安を払拭しましょう。

2-2.好景気の時に給料が上がりづらい

次に介護業界は、景気回復による恩恵を受けにくい業種であるということです。一般的な業種のように「景気回復=昇給」という好循環が生じにくく、世の中の動きと自分自身の待遇を比較し、ギャップを感じることもあります。

裏を返すと、「景気衰退=減給」という悪循環も生じにくく、安定的な水準を維持することが可能です。「不況でも、ボーナスカットや基本給の引き下げ措置を受けにくい」という特徴に魅力を感じる人にとっては、働きやすい環境でしょう。

3.不況に強い介護業界で働くための資格とは?

介護ビジネスを行う会社で働くための必須資格は存在しません。ただし、無資格者と特定の資格を保持する人では、担当業務の範囲や待遇など様々な要素に関して差がつきます。介護に関する専門性を高め、長期的に働くことを検討する人は、業務遂行に役立つ資格の取得を目指しましょう。

介護ビジネスを行う職場で役立つ資格の具体例は、次の通りです。

介護職員初任者研修 介護業界で働くための入門資格。入浴や食事、更衣のサポート方法など、介護の仕事を行う上での基礎知識とスキルを証明する資格です。
介護福祉士実務者研修 介護職員初任者研修のステップアップ資格。介護福祉士実務者研修を受講すると、サービス提供責任者として働くことが認められます。
介護福祉士 実務経験3年以上・介護福祉士実務者研修受講済の介護従事者が挑戦する国家資格。介護福祉資格保持者は主に、介護の現場の管理者として働き、高齢者や高齢者の家族の相談対応・マネジメント業務などを担当します。

介護職員初任者研修は、介護業界以外の業種で働く人や実務経験を持たない人の受講も認められます。就職・転職活動を始める前に挑戦し、介護の仕事に対するやる気や誠実な人柄をアピールしましょう。
もちろん、就職・転職後に学習を進め、働きながら取得を目指すこともできます。実務スキルをいち早く習得し、入社先に貢献する人材として成長するため、前向きに行動しましょう。

4.不況に強い介護業界へ就職・転職するなら今がチャンス!

不況に強い介護業界へ未経験から就職・転職するためには、タイミングの見極めが大切です。多くの施設が深刻な人材不足に悩み、求職者有利の状況である現在は、高待遇の求人と出会うための好機と言えます。

人材不足の早期解消を図るため、未経験者の求人応募を歓迎する施設は多く、新人研修やOJTを通じた専門技能の習得が可能です。未経験者の応募を歓迎する施設を選ぶためには、求人広告内の「無資格・未経験者OK」といった記述に注目しましょう
「研修制度充実」といった記述を行う求人施設も、「未経験者の採用意欲が旺盛である」と判断できます。

無資格・未経験者の初任給は一般的に、実務経験者と比較し、見劣りする水準です。しかし、入社後の努力によっては、同時入社の経験者を追い越すことも可能でしょう。

年収アップやキャリアアップを実現するためには、介護に関する資格を取得したり実務スキルを磨いたりといった、前向きな努力が欠かせません。経験者の同僚と切磋琢磨し、継続的なスキルアップを図りましょう。

まとめ

介護の仕事は、社会的な存在意義が大きく、やりがいあふれる業種と言えます。「不況に強い」という特徴はもとより、社会に対する貢献度合いを実感し、働くことを希望する人にとっては、理想的な仕事でしょう。

介護業界に対する興味・関心を放置せず、就職や転職に向けた行動を起こすことは、より自分らしく安定した働き方の実現に貢献します。更なる業界研究や求人情報の検索など、具体的な行動を起こし、理想の働き方を実現しましょう。

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