技術職とは|種類別の仕事内容・求められる能力も紹介

技術職とは|種類別の仕事内容・求められる能力も紹介

技術職とは、工学や数学などの専門的な知識を生かして、製品の製造や維持管理などの業務を担う専門職です。技術職には、生産技術職や製造技術職、研究職などの種類があり、その種類によって仕事内容が異なっていることが一般的です。

この記事では、技術職とは何か、技能職との違いを踏まえて詳しく解説します。さらに、種類ごとの技術職の仕事内容や、技術職に要求される能力についても紹介するため、技術職に興味のある方は、ぜひ参考にしてください。

技術職とは

技術職とは、専門的な知識を生かして、製品の製造および維持管理に関する業務を担当する仕事のことです。製品開発の他、製造に関わる工程の設計を行うこともあり、主に工学・化学・数学など理系の知識が求められます。

勤務している企業や担当部署によっては、製造工程の運用に加えてメンテナンス、修理などの保守業務も行います。日本のものづくりを支えている存在が、さまざまな分野で活躍している技術職です。

技術職と技能職の違い

技術職と混同されやすい仕事が、技能職です。技術職と技能職は同じ職場で働くことが多い一方で、求められる能力や任される業務の範囲が異なります。

技能職は、構築された生産体制の中で、技能を生かして作業する担当者のことです。具体的な仕事として、たとえば機械オペレーターや検査組立、ライン作業などがあげられます。

技能職が円滑に作業できるように、製品開発・設計や、生産体制の構築・管理を担当する仕事が技術職です。技術職がものづくりの仕組みを作り、整備された環境下で技能職が製品の製造作業を担当します。

名称や職場が似ていても、技術職と技能職の仕事は明確に分担されています。通常、技術職のほうが、より高い専門性を求められる仕事です。

【種類別】技術職の仕事内容

技術職は、生産技術職・製造技術職・研究職・開発設計職・整備保全職の5種類に分けられます。いずれも工業・科学技術に関係した技術者が求められる点は共通しつつも、仕事内容は技術職の種類ごとに異なっています。

活躍する場によって、技術職に求められる能力はさまざまです。前述した5種類の仕事で、それぞれ具体的にどのような内容の仕事を担当するのか解説します。

生産技術職

より良い環境下でものづくりができるように、生産体制を整備することが「生産技術職」の仕事です。製品を安定的に量産するためには、生産体制の最適化が欠かせません。生産技術職は設備開発や設備導入、人員配置を行い、量産化を支えます。

生産ラインは、ある程度構築された後も、生産性や品質など多くの課題が見つかります。より生産性や品質を向上させるために問題を洗い出し、製造工程の改善を行うことも生産技術職の役目です。

手がけた生産ラインが稼働して製品が完成していく様子を目にしたり、生産性向上などの目標を達成したりしたときなど、多くの場面でやりがいを感じられます。

製造技術職

製造手順を決めるなど、生産体制を整備する仕事が「製造技術職」です。近年はDX推進により、AIによる生産ラインの自動化が普及しつつあります。ただし、すべての工程を自動化することは容易ではなく、人の手が必要となる部分も多く残っています。

製造技術職の役目は、AIで対応できない部分をカバーすることです。各工程の作業効率や品質の問題点、トラブルの要因を洗い出し、必要に応じて製造手順を変更する場合もあります。

生産技術職と同じく、製造技術職も自身が行った改善策によって作業効率や品質が向上する様子を確認できるため、成果ややりがいを感じやすい仕事です。

研究職

探求心が強く、物事の可能性を追求したりトライアンドエラーを楽しんだりできる人に向いている仕事が「研究職」です。

研究職の業務範囲は、基礎研究と応用研究の2種類に分けられます。基礎研究は新しい成分や原理を研究する仕事で、製品開発に役立つ材料や技術の発見が目的です。応用研究は、基礎研究の結果をもとに製品開発を行ったり、既存の製品を改良したりします。

基礎研究も応用研究も、製品開発および品質の改良に欠かせない重要な仕事です。培ってきた学術知識を用いて仮説構築や実証、考察を繰り返す作業の他、研究成果が社会に役立てられることにやりがいを感じられます。

開発設計職

研究職が発見した新たな材料や技術、研究結果を参考に製品開発を行う仕事が「開発設計職」です。アイデアを試作品に落とし込み、ブラッシュアップすることが主な仕事です。新たな材料や技術で生まれた価値は、開発設計職によって製品に活用されることで社会の役に立ちます。

すでに材料や技術、原理が確立されていても、最初から製品にうまく反映できるとは限りません。開発設計職は試作や改良を繰り返して技術開発を行い、製品の仕様を完成させます。

他部署と連携してユーザーニーズを反映させたり、試行錯誤を繰り返したりするなど、AIには困難な作業が多いため、将来性が期待できる仕事です。

設備保全職

多くの機械を用いる生産ラインは、定期的な設備点検が欠かせません。設備点検やトラブル発生時の対応を行い、生産ラインが安定的に稼働するように保全する仕事が「設備保全職」です。

機械にトラブルが発生したときは、設備保全職が調査を行い、部品の交換や修理で対処します。部品交換や修理の対応が不要な場合も、監視や調整で安定的な稼働を支えます。

AIによる自動化が進んでも、老朽化や故障などに対応できる工学系の人材が欠かせません。生産体制を維持するために、今後も多くの現場で設備保全職の需要が期待できます。

技術職に求められる能力

複数の種類に分けられる技術職は、いずれも製造業界の安定的な生産体制を維持するために欠かせない存在です。やりがいや将来性を重視する人の転職先としても向いています。

実際に技術職として働くためには、現場で求められる能力や要件などを満たさなければなりません。ここでは転職を検討している人へ、メーカーを問わず技術職全般に求められる能力や特徴を6つ紹介します。

(1)柔軟な発想力

技術職は、さまざまな場面で柔軟な発想力が求められます。既存の手順やシステムを改善したり、製品や設備を改良したりするためには、固定観念にとらわれない発想力が必要です。日頃から鋭い観察力で物事を見聞きして、自分自身の知識としてアウトプットできる能力があれば、技術職として重宝されます。

(2)高い集中力

定期点検やトラブル時の対応、生産ラインの設計・改良など、技術職は高い集中力が求められる仕事です。こまかな作業を行う場面や専門知識、経験を活用する機会が多いため、集中力をもって仕事に取り組める人が向いています。

(3)旺盛な好奇心

技術職には、目標達成または課題解決のために、何度もトライアンドエラーを繰り返せる根気強さや好奇心が必要です。数回試したら飽きてしまう人よりも、好奇心旺盛で何度も同じ目標や課題に取り組める人のほうが技術職に適しています。

(4)高い学習意欲

高い学習意欲も、すべての技術職に求められる要素です。新たな材料や技術、製品を研究開発するときはもちろん、生産ラインを構築したり改善したりするときも、新しい知識や情報が役立ちます。時代の変化にともない、知識や技術をアップデートできる人は、技術職に向いています。

(5)几帳面な性格

仕事として研究開発や設備導入などを行う以上、案件ごとのコストや開発期間を常に頭に置いておかなければなりません。思考錯誤を繰り返す中で記録をこまめに取り、失敗を次回に生かせる几帳面な性格をしている人であれば、効率的に仕事へ取り組めます。

(6)高いコミュニケーション能力

業務を円滑に進めるためには、高いコミュニケーション能力も必要です。技術職は技能職をはじめとする生産ラインの関係者や、取引先と交渉する営業担当者など、部門部署を超えた相手とのやり取りが求められます。必要な情報を共有したり、課題や解決策を発見したりするためには、高いコミュニケーション能力が欠かせません。

まとめ

技術職には生産技術職や製造技術職などの種類があり、種類ごとに具体的な仕事内容が異なっています。科学技術・工学に関する高度な知識が求められます。

技術職として働くためには、専門的な知識が求められるとともに、柔軟な発想力や高い集中力が欠かせません。また、日々発展する科学技術に対応するために、旺盛な好奇心や高い学習意欲も求められます。

技術職は主に理系の人が採用される職種です。しかし、文系であっても情報技術分野を中心に採用が活発な分野もあります。技術職に興味のある方はぜひ文系・理系を問わず、チャレンジしてみましょう。

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