理容師と美容師の違いとは?法律・免許や仕事内容も比較して解説

理容師と美容師の違いとは?法律・免許や仕事内容も比較して解説

理容師と美容師の違いは、根拠となる法律と、法律が定める仕事の目的にあります。どちらも髪を扱う仕事で、受けられる施術も重なる部分が多いため、違いを説明しようとすると言葉に詰まりやすい話題です。

ただし理容師は理容師法、美容師は美容師法という別々の法律にもとづく国家資格であり、免許の種類も国家試験の課題も異なります。進路を考える段階では、施術のイメージだけでなく法律上の線引きまで押さえておくと判断に迷いません。

当記事では理容師と美容師の違いを、法律・免許・提供サービス・資格取得までの流れという4つの観点から比較し、両方の免許を持つダブルライセンスという選択肢まで整理しました。

理容師と美容師の違いとは?

理容師と美容師を分けているのは、根拠となる法律と仕事の目的です。理容師は理容師法にもとづく国家資格で、頭髪の刈込や顔そりなどによって容姿を整えます。美容師は美容師法にもとづく国家資格で、パーマネントウエーブや結髪、化粧などによって容姿を美しくする仕事です。

容姿を整えるか、美しくするかという目的の差が、扱える施術と働く施設の違いにつながっています。施術内容だけを見ると重なる部分もあり、カットやカラーはどちらの資格でも扱えます。見分ける際の判断材料になるのは、顔そりを含む身だしなみ全般を扱うか、髪型やメイクの仕上がりまで扱うかという違いです。

法律・免許における理容師と美容師の違い

理容師と美容師は、それぞれ別の法律にもとづく国家資格です。理容師の根拠は1947年に制定された理容師法、美容師の根拠は1957年に制定された美容師法で、仕事の定義も免許の要件も法律ごとに異なります。

理容師は「理容師法」にもとづく国家資格

理容師は、理容師法にもとづいて厚生労働大臣から免許を受ける国家資格です。理容師法第1条の2は、理容を頭髪の刈込や顔そりなどによって容姿を整えることと定義しています。免許を受けるには、理容師試験の合格と免許申請を経て、理容師名簿へ登録されることが条件です。

理容師法第6条の2は、理容師が理容所以外で業を行うことを原則として禁じています。例外として、疾病などの理由で理容所に来られない人への施術や、婚礼などの儀式に参列する人への施術、都道府県が条例で定める場合などは認められています。免許を取得しても、業を行える場所は法律で限られる点に注意が必要です。

美容師は「美容師法」にもとづく国家資格

美容師は、美容師法にもとづいて厚生労働大臣から免許を受ける国家資格です。美容師法第2条は、美容をパーマネントウエーブや結髪、化粧などによって容姿を美しくすることと定義しています。理容が容姿を整える行為、美容が容姿を美しくする行為と位置づけられている点が、2つの法律の違いです。

免許を受けるには美容師試験に合格し、免許申請を経て名簿へ登録される必要があります。業務を行う場所にも制限があり、美容所以外で美容の業を行うことは美容師法第7条で原則として禁止です。例外は美容師法施行令に定められており、婚礼などの儀式に参列する人への施術や、疾病などの理由で美容所に来られない人への出張美容が該当します。

提供サービスにおける理容師と美容師の違い

理容師と美容師は、どちらもカットやカラーを扱えます。ただし提供サービスの範囲は完全に同じではありません。ここではそれぞれが提供できるサービスの範囲を解説します。

理容師はカットやシェービングで容姿を整える

理容師の中心的な仕事は、カットと顔そり、整髪の3つです。頭髪を刈り込んで形を整え、シェービングで髭やうぶ毛を処理し、整髪料で仕上げるまでが理容の業務範囲にあたります。顔そりを独立したメニューとして扱えるのは理容師だけという点は、理容室が選ばれる理由の1つです。

2015年の厚生労働省通知により、理容師がパーマネントウエーブを行えるようになりました。髪を染める行為も理容師法と美容師法が定める行為に準ずるものとされ、理容師が対応できます。カットやパーマ、カラーに加えて顔そりまで提供できる点が、理容師のサービスの特徴です。

美容師はカットやカラーなどで容姿を美しくする

美容師は、カットやカラー、パーマ、ヘアセットに加えて、メイクや着付けまで担当します。美容師法が定める美容にはパーマネントウエーブと結髪、化粧が含まれており、髪だけでなく顔まわりや装いを含めた仕上がりを扱う点が特徴です。成人式や結婚式のヘアメイクを美容室が担う背景にも、法律上の定義があります。

本格的な顔そりは、美容師の業務範囲に含まれません。化粧に伴う軽い程度のうぶ毛処理までは例外として認められているものの、カミソリを使った本格的なシェービングは理容師の業務です。

理容師・美容師になるには?

理容師と美容師になる流れは、養成施設で必要な課程を修了し、国家試験に合格し、免許申請を経て名簿に登録されるという3段階に分かれます。目指す資格によって学ぶ実習内容や試験課題は異なるものの、手続きの順序は理容師と美容師で変わりません。

出典:厚生労働省「理容師・美容師免許の取得まで」

理容師・美容師養成施設で必要な課程を修了する

まずは、都道府県知事が指定する理容師養成施設または美容師養成施設への入所です。修業期間は昼間課程と夜間課程が2年以上、通信課程が3年以上で、働きながら目指す場合は通信課程が選択肢です。

養成施設では、衛生管理や保健などの学科に加えて、カッティングやシェービング、ワインディングの実習を重ねます。理容師養成施設と美容師養成施設では実習で扱う技術が異なるため、入所の時点でどちらを目指すかを決める必要があります。

理容師・美容師国家試験に合格する

養成施設で課程を修了すると、公益財団法人理容師美容師試験研修センターが実施する国家試験を受験できます。試験は年2回実施され、筆記試験と実技試験の両方に合格しなければなりません。

筆記試験では、関係法規・制度及び運営管理、衛生管理、保健、香粧品化学、文化論及び技術理論が出題されます。合格には55問中6割以上の正答率が求められ、無得点の課目が1つでもあると不合格になります。衛生や保健に関わる課目は理容師と美容師で共通し、技術理論などは目指す資格ごとに内容が変わります。

実技試験は、理容師と美容師どちらも衛生上の取扱試験と基礎的技術試験で構成されます。美容師はカッティングと、試験回ごとに指定されるワインディングまたはオールウェーブセッティングが課題です。理容師はカッティングに加えてシェービングと整髪も課題に含まれ、顔そりの技術が試験の段階から問われます。

免許申請を行って理容師・美容師名簿に登録する

国家試験に合格したら免許申請を行い、理容師名簿または美容師名簿へ登録されて初めて免許が交付されます。免許は全国どこでも有効で、勤務先が変わっても取り直す必要はありません。

ただし氏名や本籍地の都道府県名が変わった場合は、訂正申請が求められます。申請には所定の書類と手数料が必要なため、卒業前に養成施設の案内で手続きを確認しておくと確実です。

理容師と美容師のダブルライセンスとは?

ダブルライセンスとは、理容師免許と美容師免許の両方を取得した状態を指します。片方の免許をすでに持つ人は養成施設の修得者課程で学べるため、昼間課程と夜間課程は1年以上、通信課程は1年6か月以上と、通常の課程より短い期間で受験資格を得られます。

両方の免許を持つと、カットやカラー、パーマに加えて顔そりまで1つの店舗で提供でき、対応できる客層が広がる点がメリットです。2016年4月からは、施術者全員が理容師免許と美容師免許を持つ事業所に限り、同じ施設で理容所と美容所を重複して開設できるようになりました。就職先の幅だけでなく、独立を考えるときの選択肢も増えます。

一方で、追加の学費と学習期間が必要になり、もう片方の国家試験に向けた実技対策も欠かせません。取得の時期と費用を見積もってから計画を立てると、働きながらでもダブルライセンスを目指せます。

まとめ

理容師と美容師の違いは、理容師法と美容師法という別々の根拠法から生まれています。理容は容姿を整える行為、美容は容姿を美しくする行為と定義され、本格的な顔そりを業務として扱えるのは理容師だけです。一方でカットやカラー、パーマは2015年の通知以降どちらの資格でも扱えるようになり、施術内容だけで両者を見分けるのは難しくなりました。

資格取得までの流れは、養成施設で課程を修了し、国家試験に合格し、名簿へ登録するという3段階で共通します。理容師と美容師では実習で扱う技術と実技試験の課題が変わるため、入所の前にどちらへ関心が向くかを整理しておくと迷いません。両方の免許を取るダブルライセンスという道もあり、修得者課程を使えば2つ目の資格は短い期間で目指せます。

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