配送の仕事で独立を考えるとき、「個人事業主として本当に稼げるのか」と疑問に思う人は多いでしょう。軽貨物運送事業は未経験からでも始められ、努力次第で高収入を目指せる職種として注目を集めています。ただし、収入にはばらつきがあり、成功には準備や工夫が欠かせません。
当記事では、個人事業主として始める配送業の基本から稼げる理由、年収相場、開業に必要な手続きまでを詳しく解説します。未経験からでもスタート可能な業種として、配送業を検討中の場合はぜひご覧ください。
目次
個人事業主として始められる軽貨物運送事業とは?
軽貨物運送事業は、軽自動車や二輪車を使って荷物を有償で運ぶことが主な事業内容です。正式には「貨物軽自動車運送事業」と呼ばれます。街中で見かける黒ナンバーの軽バンや軽トラックは、軽貨物運送事業を行う車両の代表例です。
一般的な法人と異なり、個人でも「運輸支局長への届出」と「軽自動車のナンバー変更などの手続き」だけで開業できます。特別な資格も不要なため、初期費用が抑えられる点も魅力です。配達先は法人・個人を問わず多岐にわたります。
主な仕事内容
軽貨物運送事業の主な仕事内容は、宅配ドライバーとして小型・軽量な荷物を個人宅や企業へ配達することです。物流会社や貨物会社などと業務委託契約を交わすことが多く、仕事内容は案件ごとに異なります。近年はAmazonなどのネット通販の利用が多いため、個人向けの宅配業務が増加傾向にあります。
一方、企業向けの配送では、医薬品や日用品、精密機器などを決まった時間帯に届ける定期便が中心です。定期的に仕事が発生するので、安定した収入につながることもあります。ただし、個人宅向けでは不在による再配達が多く、繁忙期には休日を取りづらいなど、労働時間が長くなる場合もあります。
2. 個人事業主の配送の仕事が稼げると言われている理由
個人事業主ドライバーは、自分の努力や工夫が収入に直結するため、稼ぎやすい仕事として注目されています。ここでは、個人事業主の軽貨物運送事業が稼げると言われる具体的な理由を解説します。
努力が収入に直結する
軽貨物運送事業の仕事は、自分の努力がダイレクトに収入へとつながる点が大きな魅力です。個人事業主として働くドライバーの多くは歩合制で、配達件数に応じて報酬が支払われます。たとえば、荷物単価が150円の場合、1日10個多く配れば月収にして数万円の差が出ることも考えられます。
運送会社によっては、繁忙時に社員が対応しきれない分の荷物まで任されることもあり、やる気次第で大幅な収入アップが可能です。慣れや工夫で配達効率を上げられるため、時間の使い方次第で成果が変わる仕事だと言えるでしょう。
業界全体の需要が拡大している
軽貨物運送業界は、ネット通販の拡大やライフスタイルの変化により、今なお需要が伸び続けています。特にAmazonをはじめとするECサイトの普及で小口配送のニーズが高まり、個人宅向けの宅配依頼が急増しています。
さらに、コロナ禍以降は日用品の宅配や非対面配送の需要も拡大し、ドライバーの人手不足が深刻化しているのが現状です。そのため、仕事の受注先は豊富にあり、信頼できる元請けと契約できれば、安定的に案件を獲得することも可能です。業界全体が成長している今こそ、参入のチャンスと言えるでしょう。
経験を積むことで効率と収入が向上する
配送の仕事は、経験を積むほど効率が向上し、結果的に収入も伸びる傾向にあります。始めたばかりの頃は道に迷ったり、ルート設定に時間がかかったりして、効率的に配達に回れない場面もあるでしょう。
しかし、日々の配達を通して配送ルートや地域の特徴を把握し、抜け道や混雑回避のコツを覚えれば、配達スピードは格段にアップします。そのため、最初は1日30件ほどだった配達数が、半年~1年で200件以上に伸びる可能性もあるでしょう。軽貨物運送事業は、努力と継続によってスキルが磨かれ、高収入につながる仕事です。
個人事業主として働く配送ドライバーの年収相場
個人事業主として働く配送ドライバーの年収は、一般的に約400万円前後とされています。月収ベースでは20万~50万円が平均的ですが、実際の収入は働き方や配達エリア、案件の単価によって大きく異なります。
たとえば、置き配が普及している都市部では、配達効率が向上するため、より多くの件数をこなすことが可能です。また、フルタイムで稼働して配送単価の高い案件を多く受け持つドライバーの中には、年収1,000万円を超える人もいます。
個人事業主として行う配送業の始め方
個人運送業を始めるには、事前の準備や必要な手続きをしっかりと行うことが大切です。ここでは、開業までの基本的な流れを分かりやすく解説します。
開業前の準備を整える
配送業を個人事業主として始めるには、まず「何をどのように運ぶのか」「どのような契約で働くのか」を明確にする必要があります。配送ドライバーの働き方は、配送件数に応じて報酬が増える歩合制と、月額で安定収入が得られる固定給型の主に2種類です。「収入を重視したいのか」「安定性を優先したいのか」など、ライフスタイルや働き方の希望に応じて判断するとよいでしょう。
次に、配送業務に使用する軽バンや軽トラックなどの車両を準備します。自分で購入するか、リースを利用する方法が一般的です。購入とリースのどちらを選ぶかは、初期費用にどれだけ投資できるかや、長期的にその車両を使い続ける予定があるかどうかといった視点で決めるとよいでしょう。また、車両を保管する駐車場も忘れず用意する必要があります。
役所・保険関係の手続きを進める
貨物軽自動車運送事業を始めるには、まず「貨物軽自動車運送事業経営届出書」を管轄の運輸支局に提出し、事業者登録を行う必要があります。併せて、車両ごとに「黒ナンバー(事業用ナンバー)」の取得も必須です。届出の手続きには、車検証のコピーや運賃料金表など複数の書類が必要で、不備があると受理されないため、事前に確認を徹底しましょう。
また、保険への加入も重要です。法律で義務づけられた自賠責保険に加え、事故時の損害をカバーする対人・対物賠償保険や車両保険、荷物の破損に備える貨物保険への加入が推奨されます。万が一の病気やケガに備え、所得補償保険なども検討すると安心です。
案件を獲得し営業を開始する
必要な届出や準備が整ったら、いよいよ仕事の獲得と営業の開始です。まず税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出し、事業主として正式に登録を行いましょう。
案件の獲得方法は主に3つあります。1つ目は案件紹介サービスへの登録で、初心者でも始めやすい反面、手数料がかかる点に注意が必要です。2つ目は配送業者と契約し、委託ドライバーとして安定的に仕事を受ける方法です。収入はやや抑えられますが、継続性に優れています。3つ目は自力で配送先となる企業や個人と直接契約を結ぶ方法で、収益性は高いものの、営業力や実績が求められます。
どの方法を選ぶにせよ、事業開始段階では堅実に信頼を築き、少しずつ案件の幅を広げることが成功のポイントです。
まとめ
個人事業主としての配送業は、未経験でも始められ、やり方次第で高収入が目指せる仕事です。努力が収入に直結すること、需要が伸びている業界であることから、将来性も十分と言えます。
ただし、事業の成功には十分な準備と継続的な努力、そして信頼関係の構築が欠かせません。開業手続きや仕事の獲得方法など、基本を押さえて堅実にステップを踏むことで、安定的に収入を得られるでしょう。
コメントを残す