ビル清掃など清掃の仕事に興味があるものの、どの資格が実務に役立つのか迷っている人もいるでしょう。清掃は資格がなくても始められる職種ですが、清掃関連の資格を取得することで就職や転職の評価が上がり、キャリアアップにもつながります。
当記事では、ビルや病院、家庭など各現場に対応するおすすめの清掃資格5選を紹介します。それぞれの資格内容や取得メリット、学習方法も取り上げているため、清掃業界でスキルアップやキャリア形成を目指す人はぜひ参考にしてください。
目次
清掃関連の資格・おすすめ5選
清掃の仕事に役立つ資格には、種類ごとに異なる特徴や難易度があります。ここでは、採用やキャリアアップにもつながるおすすめの清掃関連資格を5つ紹介します。
ビルクリーニング技能士
ビルクリーニング技能士とは、ビルの環境衛生を維持するために必要な清掃技能を評価・認定する国家資格です。1982年に創設され、1級から基礎級までの4等級に分かれています。1級の合格者は「清掃作業監督者」としての要件を満たすため、キャリアアップを目指す上で重要な資格とされています。
資格の等級ごとに必要な受験資格や試験内容が異なり、たとえば1級では5年以上の実務経験と複数の清掃作業に対応できる高度な技術が求められます。一方、3級は実務未経験者や初心者でも挑戦可能で、器具の扱い方や日常清掃などの基本を習得することが目的です。
建築物環境衛生管理技術者
建築物環境衛生管理技術者とは、特定建築物の環境衛生管理を総合的に監督する国家資格です。延べ面積3,000平方メートル以上の建築物などでは、所有者や管理者は建築物環境衛生管理技術者を選任しなければならず、法令上も重要な役割を担っています。空気や水質、清掃状況などの衛生状態の点検・評価、管理計画の立案、スタッフへの指導・監督などが、建築物環境衛生管理技術者の主な仕事内容です。
資格取得の方法は、厚生労働大臣が認可した講習機関での講習修了、または指定試験機関による国家試験への合格のいずれかです。講習の受講あるいは国家試験の受験の資格を得るには、実務経験の要件を満たす必要があります。
清掃作業監督者
清掃作業監督者とは、ビルクリーニング業や建築物環境衛生総合管理業の登録要件として定められている監督者資格です。複数現場を管理する責任者として、作業の品質や進捗、安全面などを総合的に監督する役割を担います。
清掃作業監督者の資格を取得するには、全国ビルメンテナンス協会または日本建築衛生管理教育センターなどが実施する厚生労働大臣登録の講習を修了する必要があります。受講には、1級ビルクリーニング技能士の資格保有者または建築物環境衛生管理技術者の免状取得者であることが条件です。
病院清掃受託責任者
病院清掃受託責任者とは、病院が清掃業務を外部に委託する際に配置が義務づけられている「受託責任者」の役割を担う専門資格です。受託業務の現場で、安全かつ衛生的な清掃が実施されるよう責任を持って管理・監督する重要な立場とされています。
病院清掃受託責任者講習は、医療施設特有の清掃方法や感染予防、個人情報の保護、法令知識など、医療現場で必要な知識と実務能力を体系的に習得することが目的です。カリキュラムはeラーニングによる学科講習と、指定会場での集合講習に分かれており、受講後に審査に合格すれば修了証書が交付されます。受講資格は、清掃業務に3年以上、かつ医療機関での清掃経験が6か月以上あることが条件です。
ハウスクリーニング技能士
ハウスクリーニング技能士とは、一般家庭を対象とした清掃業務に必要な技能を評価・認定する国家資格です。技能検定制度は、職業能力開発促進法に基づき、働く人々の技能水準を国が公式に証明するものであり、合格者には「技能士」の称号が与えられます。
受検資格を得るには、ハウスクリーニングの実務経験が3年以上必要です。実務経験にはパートやアルバイト勤務も含まれ、週あたり24時間以上勤務していれば対象となります。試験は学科と実技の2科目に分かれており、両方に合格する必要があります。
清掃関連の資格を取得するメリット
清掃の仕事は、資格がなくても始められる職場が多く存在します。しかし、民間資格の資格者や国家検定資格者になると、就職や転職の際に自己アピールの材料となり、採用や待遇面で有利になる可能性があります。特に、介護・福祉・飲食・宿泊施設などの業界では、清掃スキルを持つ人材が重宝されます。勤務先によっては、資格手当が支給される場合もあるでしょう。
また、清掃資格取得はスキルアップの手段としても有効です。現場での評価が高まり、専門性の高い業務を任される機会が増えれば、将来的には管理職や講師などのキャリア形成も視野に入ります。
資格取得を通じて習得した正しい掃除の知識や清掃技術は、自宅での掃除にも役立てることができます。汚れに応じた洗剤や掃除道具の使い分けや効率的で安全な掃除方法などを通し、プロレベルの仕上がりを自分で実現できるようになれば、業者に頼る必要がなくなるため、費用の削減にもつながるでしょう。
清掃関連の資格を取得するための学習方法
清掃関連の資格を取得するには、目的やライフスタイルに応じた資格試験の学習方法を選ぶことが大切です。ここでは、代表的な学習手段として通学・通信・独学の3つの方法を紹介します。
スクールに通学して学ぶ
スクールに通学する方法は、清掃の基本から実技までを体系的に学べるスタイルです。浴室やキッチンなどの場所別に学ぶコースが用意されていることが多く、実際の作業を自分の目で確認しながら掃除スキルを習得できます。講師にその場で質問できることや、同じ目標を持つ仲間と励まし合えることも、学習継続のモチベーションになるでしょう。
一方で、通学にはまとまった時間と費用がかかる点には注意が必要です。1講座で数万円から数十万円することもあり、スケジュール調整も必要になります。ライフスタイルや予算に余裕があり、より実践的に学びたい人に適した方法と言えるでしょう。
通信講座で学ぶ
通信講座は、通学せずに自宅で学べる利便性の高い学習方法です。テキストや動画教材、添削課題、模擬試験などが一式で提供されるほか、不明点は講師に質問できるサポート体制が整っている講座も多く、初心者でも段階的に学習を進められます。
また、忙しい人でも隙間時間を活用して学べる点もメリットです。ただし、通学に比べると実技の習得には限界があるため、手を動かして覚えるタイプの人には物足りなさを感じる場合もあります。自分のペースで効率よく学びたい方におすすめの方法です。
テキストを使って独学で学ぶ
独学は、市販のテキストや指定教材を購入して自分のペースで学ぶ方法です。学習コストを抑えられるのが最大のメリットであり、通学や通信講座に比べて費用面の負担は軽く済みます。また、時間や場所に縛られず自由に学べる点も魅力です。
ただし、独学には明確なカリキュラムやサポートがないため、学習の方向性が定まらず、途中で挫折するリスクもあります。自己管理が求められますが、基礎知識の習得や費用を重視する人に向いている方法です。
まとめ
清掃関連の資格は、現場での信頼や評価を高めるだけでなく、就職や転職を有利に進めるための手段の1つです。ビルや病院、家庭向けなど、活躍する場に応じた資格を取得することで、専門性が高まり、将来的にはマネジメント職や指導者への道も開けます。
また、学習方法についても、通学・通信・独学とライフスタイルに合わせて選ぶことができ、効率よく資格取得を目指せます。まずは自分の目標や働く環境に合う資格を見極め、実行に移すことが、長く活躍できる清掃のプロへの第一歩となるでしょう。
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