賃貸不動産経営管理士とは?仕事内容や資格取得のメリットを徹底解説

賃貸不動産経営管理士とは?仕事内容や資格取得のメリットを徹底解説

賃貸住宅のニーズが高まり続ける中で、「賃貸不動産経営管理士」という資格への注目が高まっています。賃貸物件の管理や入居者対応、オーナーの資産価値の維持など、現場の最前線を支える重要な国家資格です。一方で、「どのような仕事をしているのか」「どうすればなれるのか」といった疑問を持つ方も少なくありません。

当記事では、賃貸不動産経営管理士の基本的な役割や具体的な仕事内容、試験と登録の流れ、資格取得によって得られるメリットを分かりやすく解説します。

賃貸不動産経営管理士とは?

賃貸不動産経営管理士とは、国が定めた国家資格で、賃貸住宅管理業に関する知識・技能・倫理観を備えた専門家を認定するものです。2007年に創設され、賃貸住宅管理業界の基準資格として定着しています。

賃貸不動産経営管理士は、入居前の契約業務を扱う宅地建物取引士(宅建士)などとは異なり、入居後の設備管理や入居者間トラブルの対応、オーナーの資産管理など、賃貸住宅の運営と維持に関する業務を担うことが前提となっています。賃貸住宅を巡るトラブルが社会問題化する中で、入居者の安全・安心やオーナーの資産価値維持を支える役割を果たす重要な資格です。

業務管理者として認められるための要件の1つ

賃貸不動産経営管理士は、法律で定められた「業務管理者」として認められるための主要な要件の1つです。賃貸住宅管理業者は、適正な管理体制を維持するため、事業所ごとに業務管理者を設置することが義務付けられています。その中で、国家資格である賃貸不動産経営管理士を有することが、業務管理者となるための条件として定められています。

賃貸不動産経営管理士の資格を持つ者は、賃貸住宅管理業務の基準に基づき、法令遵守や適切な業務運営を支える立場にあります。業務管理者としての配置が求められる背景には、賃貸住宅管理の透明性を確保し、入居者とオーナー双方に安心できる管理体制を提供するという目的があります。そのため、賃貸不動産経営管理士は法律上も重要な資格として位置づけられています。

賃貸不動産経営管理士の仕事内容

賃貸不動産経営管理士の主な仕事は、オーナーから賃貸物件の管理を受託し、入居者の募集や契約対応、建物・設備の維持管理などを行うことです。ここでは、賃貸不動産経営管理士の仕事内容をより詳しく解説します。

オーナーから管理業務を受託する

賃貸不動産経営管理士は、まずオーナー(大家)から賃貸物件の管理業務を正式に受託します。これは「管理業務受託契約」と呼ばれ、業務の出発点となる重要なプロセスです。受託後は、近隣の家賃相場や入居需要を調査し、適正な家賃設定やリノベーション・バリアフリー化などの企画提案を行い、オーナーの収益性向上を支援します。

また、経営面でのコンサルティングも行い、節税・相続に関する相談対応や資産活用のアドバイスを行うこともあります。オーナーにとっての信頼できるパートナーとして、資産価値を守りながら安定した賃貸運営を支えます。

入居者の募集・契約・対応を行う

賃貸不動産経営管理士は、入居者の募集から契約手続きまでを一貫してサポートします。物件情報を整理し、広告や不動産サイトを通じて募集を行い、内覧希望者への対応や条件交渉を進めます。入居希望者が現れた場合には、家賃支払い能力や生活態度を確認する信用調査を実施し、オーナーに助言します。

入居者の選定はトラブル防止の観点から非常に重要であり、専門的な判断が求められる工程です。また、契約書の作成や重要事項の説明など、法令に基づいた事務手続きも担います。入居者が安心して生活でき、オーナーが安定した経営を続けられるよう支援するのが賃貸不動産経営管理士の役割です。

建物・設備の維持管理を行う

賃貸不動産経営管理士は、建物や設備の維持管理を通じて、入居者が快適に生活できる環境を守る役割を担います。具体的には、共用部の清掃、設備点検、修繕手配などの日常管理を実施し、異常があれば迅速に対応します。また、クレームやトラブルへの対応、契約更新・家賃改定の手続き、退去時の立ち会い、敷金精算、原状回復工事の手配も行います。

さらに、定期的にオーナーへ管理状況を報告し、建物の資産価値を維持・向上させる提案も行うことが特徴です。賃貸不動産経営管理士は、建物の安全性と入居者の安心を守る、現場の中核的な存在と言えます。

賃貸不動産経営管理士になるには?

賃貸不動産経営管理士になるには、国家資格として定められた2つのステップを踏む必要があります。まず「賃貸不動産経営管理士試験」に合格し、その上で「登録要件」を満たして申請を行わなければなりません。ここでは、それぞれの要件について詳しく解説します。

賃貸不動産経営管理士試験に合格する

賃貸不動産経営管理士になるには、まず毎年1回(11月)に実施される「賃貸不動産経営管理士試験」に合格する必要があります。試験は国土交通大臣登録の登録証明事業として実施され、受験資格に制限はなく、誰でも受験が可能です。出題範囲は、法律(賃貸住宅管理業法や民法など)、建物設備、賃貸経営、実務対応など幅広く、実務的な知識が求められます。

試験の流れとしては、3月に試験要綱が公開され、8~9月に出願受付が開始され、11月に試験が実施、12~1月に合格発表があります。受験料は12,000円前後で、合格後に登録手続き(別途費用あり)を行うことで正式な資格者となります。

出典:賃貸不動産経営管理士「賃貸不動産経営管理士・業務管理者になるまでの流れ」

出典:賃貸不動産経営管理士「令和7年度 賃貸不動産経営管理士試験実施要領(国土交通大臣登録試験)」

賃貸不動産経営管理士の登録要件を満たす

賃貸不動産経営管理士試験に合格しただけでは、すぐに「賃貸不動産経営管理士」として登録することはできません。登録には、賃貸住宅の管理業務に関する実務経験が原則2年以上あること、または所定の実務講習を修了して同等以上の能力があると認められることが求められます。さらに、試験合格から1年以上経過した場合は「登録講習」の受講が必須です。

登録料は税込6,600円で、有効期限は5年です。登録手続きが完了してはじめて、法律上の業務管理者要件を満たす資格者として名乗れます。通常は2~3月に講習と登録申請を行い、4月1日付で資格が付与されます。

出典:賃貸不動産経営管理士「賃貸不動産経営管理士・業務管理者になるまでの流れ

出典:賃貸不動産経営管理士「賃貸不動産経営管理士の登録手続き」

賃貸不動産経営管理士の資格を取得するメリット

賃貸不動産経営管理士の資格は、不動産業界での評価向上だけでなく、異業種でのキャリアや物件オーナーの信頼確保にも役立ちます。ここでは、不動産業界・不動産業以外・オーナーそれぞれの視点から、資格取得のメリットを紹介します。

不動産業界におけるメリット

賃貸不動産経営管理士は、賃貸住宅管理業法にもとづき、200戸以上を管理する賃貸住宅管理業者で義務付けられている「業務管理者」の主な要件となる資格です。この資格を取得すると、賃貸仲介だけでなく管理やコンサルティング業務まで担当できるようになり、担当できる仕事の幅が広がります。

管理会社にとっては法令に沿った体制づくりに欠かせない人材となるため、資格手当や昇進の評価対象になることも多く、不動産業界でのキャリアアップや転職でも大きな強みとなります。

不動産業以外でのメリット

賃貸不動産経営管理士の知識は、不動産業界以外でも幅広く生かせます。自社で社宅や寮を所有・管理している一般企業では、賃貸借契約や入居者対応、原状回復をめぐるトラブル防止などに役立ちます。

建設会社やハウスメーカー、デベロッパーでは、建物だけでなく土地活用を含めた提案力向上につながり、金融機関では投資用不動産を所有するオーナーへの融資審査や資産活用の相談対応に強みを発揮できます。賃貸不動産の構造やリスクを理解していることで、多様な業種で説得力ある提案ができる点がメリットです。

オーナーが得られるメリット

賃貸不動産経営管理士の知識は、賃貸物件オーナー自身にとっても大きなメリットがあります。資格を取得すれば、管理会社任せにせず、空室対策や賃料設定、修繕計画などを自ら判断しやすくなり、物件の収益性や資産価値の向上に役立ちます。

また、専門用語や契約内容を理解した上で管理会社と対等に話ができるため、提案内容の妥当性を見極めやすくなる点も利点です。相続や事業承継で賃貸経営を引き継いだオーナーにとっても、賃貸経営の基礎を体系的に学べる心強い資格と言えるでしょう。

まとめ

賃貸不動産経営管理士は、賃貸住宅管理業の専門家として国が認定する国家資格です。賃貸物件の管理受託から家賃設定の提案、入居者募集・審査・契約、クレーム対応や建物・設備の維持管理まで幅広い業務を担います。

資格取得には試験合格と実務経験・講習による登録が必要で、不動産会社では業務管理者要件を満たす人材として評価され、一般企業や金融機関、物件オーナーにとっても、賃貸経営の判断力や説得力、資産価値向上に役立つ点が大きなメリットです。今後も賃貸住宅ニーズが続く中で、安定した賃貸経営と入居者の安心を両立させる上で、取得を検討する価値の高い資格と言えるでしょう。

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