介護士を目指す人にとって、資格の取得方法や、現場での仕事内容が気になる人も多いでしょう。老人ホームやデイサービス、在宅介護等、介護現場の第一線で活躍するためには、「国家資格」の取得が必須です。
今回の記事では、介護士になるための手順と、具体的な仕事内容について解説します。仕事をするうえでのやりがい、1日の詳細な活動スケジュールもあわせて解説するため、介護士の仕事内容を知りたい人は参考にしてください。
目次
1.介護士として働くためには?
介護士として働くためには、社会福祉及び介護福祉士法で定められた、「介護福祉士」の資格が必要となります。
国家資格となる介護福祉士は、一定要件を満たすことで取得が可能です。未経験から有資格者になるためのルートは主に3つあるため、それぞれ解説します。
1-1.介護士の資格を取得する3つのルート
介護士の資格を取得するためには、以下のルートからいずれかを選択することとなります。
●実務経験ルート
「実務経験ルート」は、働きながら資格取得を目指せる最も一般的な方法です。対象となる事業所で3年以上(かつ従事日数540日以上)の実務経験を積むことが前提となり、さらに、以下どちらかの要件を満たすことで国家試験が免除となります。
- 介護職員実務者研修の受講修了
- 介護職員基礎研修の修了と喀痰吸引等研修の受講
最短で3年以上を要するものの、日々の経験が資格取得に直結するため、モチベーションを保ちやすくなります。
●養成施設ルート
「養成施設ルート」は、最短期間で介護福祉士の受験資格が得られるため、少しでも早く資格を取りたい人に適しています。養成施設に通う期間は、以下の通りです。
社会福祉士養成施設・保育士養成施設・福祉系大学の卒業者 | 1年以上 |
---|---|
高等学校(普通科)の卒業者 | 2年以上 |
2017年1月以前は、厚生労働大臣指定の介護福祉士養成施設を修了した段階で、資格が取得できました。ただし、2018年1月の法改定により、国家試験(筆記試験)が義務付けられています。
●福祉系高等学校ルート
「福祉系高等学校ルート」は、福祉系高等学校や福祉系特例高等学校を卒業後、介護福祉士試験を受験して介護士になる方法です。各校卒業後における国家試験の内容は、以下の通りです。
平成21年以前の入学 | 筆記試験のみ |
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平成20年以降の入学 | 筆記試験・実技試験 |
福祉系特例高等学校では、平成21年以降に入学の場合、筆記試験と実技試験に加えて、9カ月以上(勤務日数135日以上)の実務経験が必要となります。
2.介護士が働く場所と主な仕事内容
介護士が働く主な場所は、介護付き有料老人ホームや特別養護老人ホーム等の「介護施設」、介護サービスを受ける「個人宅」の2つです。
それぞれの場所における介護士の仕事内容には、以下の内容があります。
介護施設 | 入居者に対して生活全般をサポートする |
---|---|
個人宅 | 自宅生活において身の回りのサポートをする |
ここでは、さらに詳細な仕事内容を解説します。
2-1.代表的な仕事内容
介護士の代表的な仕事内容に関して、留意すべきポイントとあわせて解説します。
●生活援助
生活援助は、在宅介護における主な仕事の1つです。利用者に代わり、日常生活に必要な家事を行います。
具体的な内容については、以下の通りです。
- 居住スペースの清掃
- 洗濯
- 買い物
- 炊事と配膳
- 見守り
いずれの内容も、利用者の意思を尊重したうえで実施します。援助する対象は介護保険適用者に限られるため、利用者以外の居住スペースを清掃したり、食事を用意したりすることはありません。
●入浴介助
入浴介助は、自力で入浴することが難しい利用者に対して、入浴の補助をする業務です。入所型の介護施設はもちろん、デイサービスや在宅介護(訪問入浴)においても実施されます。
介助者は、濡れて滑りやすい床に注意をするとともに、脱衣所の室温にも気配りが必要です。
●食事介助と口腔ケア
食事介助と口腔ケアでは、自力で食べ物を摂取することが困難な利用者に対して介助をします。個々に異なる噛む力や嚥下の頻度を確かめながら、利用者に合ったペースで補助することが重要です。食後は必要に応じてブラッシングを手伝い、口腔ケアに努めます。
いずれの行為も、本人ができない範囲内で介助することが大切です。
●レクリエーション
身体機能の維持回復を目的に、ボールを使った運動や手先を使う工作、歌を歌うこともあります。レクリエーションは、お互いのコミュニケーションを図るうえでとても重要です。皆が楽しく参加できるメニューを考案することも、介護士の立派な仕事となります。
●利用者家族へのフォロー
生活支援だけでなく、利用者家族に対して在宅介護の注意点や、福祉用具の使用方法等を説明することも仕事の1つです。介護方針について相談を受けた場合には、ケアマネージャーやサービス提供責任者と連携し、柔軟な対応が必要となります。
介護士の仕事内容は上記の他、職場で働くアルバイトや介護スタッフ(ヘルパー)のマネジメント業務も求められます。チームリーダーとしてメンバーのタスク管理、教育指導、相談役を担うこともあるでしょう。
介護士には、さまざまな仕事をスムーズにこなせるだけの専門知識、スキル、経験が必要です。
3.介護士のスケジュールは?
高齢者や身体が不自由な人に対して、思いやりの心を持って接するためには、介護士自身に時間と気持ちの余裕がなくてはなりません。一人でも多くの利用者に十分な介助をするためにも、決められたスケジュールに沿って行動することが重要です。
以下は、介護職における一般的な1日の活動スケジュールとなります。
●介護施設のケース
8:00〜 | 出勤 夜勤者からの引継ぎ |
---|---|
8:30〜 | 朝食の片付け・健康チェック |
9:00〜 | 部屋の清掃・排泄介助・洗濯・介護記録の記載 |
11:00〜 | 入浴介助・昼食準備 |
11:30〜 | 食事介助 |
13:00〜 | 休憩(昼食) |
14:00〜 | 排泄介助・レクレーション・入浴介助 |
16:00〜 | おやつ介助 |
17:00〜 | 事務作業・夜勤者への申し送り 帰宅 |
●デイサービスのケース
8:00〜 | 出勤 チームミーティング |
---|---|
8:30〜 | 利用者の送迎 |
9:00〜 | 健康チェック |
10:30〜 | 入浴介助・個別のリハビリテーション(機能訓練) |
11:30〜 | 昼食準備と食事介助 |
12:30〜 | 昼食片付け・排泄介助 |
13:00〜 | レクレーション実施・外出介助(散歩等) |
15:00〜 | おやつ介助 |
16:00〜 | 排泄介助・利用者の帰宅準備 |
16:30〜 | 利用者の送迎 |
17:30〜 | 施設の片付け・介護記録の記載・チームミーティング 帰宅 |
勤務する施設によって詳細は異なるものの、おおむね以上のようなスケジュールとなります。
4.介護士として働く場合のやりがい
介護士の仕事をする中では、辛さを感じる瞬間もあります。しかし、介護士の仕事はネガティブな要素ばかりではなく、やりがいを感じられる瞬間もたくさんある仕事です。
ここでは、介護士として働く場合のやりがいについて解説します。
●要介護者の喜ぶ姿を見られる
生活援助から身体介助まで、さまざまな場面において心満たされた喜びの表情を、利用者から見ることができます。「ありがとう」の言葉に励まされ、生きる力や元気を分けてもらう介護士も少なくありません。
●利用者の家族から感謝される
介護を通じて、利用者家族の負担を減らすことが可能です。結果として、家族と要介護者との関係性が良好となり、笑顔や自由な時間を増やすことにつながります。家族や周囲から感謝されることで、地域社会に貢献できている実感も湧くでしょう。
●自身の成長につながる
介護職に従事する中で多くのことを学び、自身の成長につなげることが可能です。利用者と深い人間関係を築き、チームと連携することで、コミュニケーションの重要性を理解することができます。日々の充実感もまた、介護士の活力となるでしょう。
人の役に立ちたい、社会に貢献したいと思う人は、介護士として活躍することをおすすめします。
まとめ
ここまで、介護士になるための手順と、具体的な仕事内容を中心に解説しました。
介護士が働く場所は、施設と利用者宅に分かれるため、希望の条件に合った働き方を選択することが可能です。仕事内容もさまざまであり、自身の成長につながる部分も多くあります。
高齢化社会が進む現在、介護士の需要は高い状態です。時代の「担い手」となるために、まずは介護福祉士の資格取得から始めましょう。
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