闇バイトとは?手口の特徴や参加した人の末路・対策方法を解説

闇バイトとは?手口の特徴や参加した人の末路・対策方法を解説

アルバイトを募集する求人の中には、詐欺や強盗といった重大犯罪に加担させる「闇バイト」が存在し、深刻な社会問題となっています。一見すると高収入や簡単な作業だけを強調され、未経験者にも門戸を開いているように見えるため、思わず応募してしまう人も少なくありません。しかし、その裏には詐欺や強盗、違法な運搬・取引など、取り返しのつかない犯罪行為が潜んでいます。

この記事では闇バイトの現状や手口の特徴、関わらないための対策方法、参加してしまった場合の末路を解説します。今後の就職・転職活動で危険に巻き込まれないためにも、ぜひご一読ください。

闇バイトとは

闇バイトとは、高額報酬を謳いながら、実際には詐欺や強盗などの犯罪行為に加担させる違法なアルバイトのことを指します。特にSNSやインターネット掲示板を通じて募集されることが多く、若者や金銭的に困窮している人々がターゲットとなっています。

闇バイトが知られるきっかけとなった事件が「ルフィ広域強盗事件」です。この事件では、フィリピンの収容所にいた「ルフィ」などと名乗る指示役が匿名で連絡を行い、SNSで集められた闇バイトのメンバーを脅迫し、犯罪実行者として操っていました。

警察庁はこうした「SNSを通じて募集する闇バイトなど緩やかな結びつきで離合集散を繰り返す集団」を「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」として取り締まりを強めている状況です。

出典:読売新聞オンライン「新形態「匿名・流動型犯罪グループ」に対応…福岡県警が「組織犯罪捜査課」組織横断で新部署」

闇バイトの検挙数は増加している

2024年の警察庁発表では、闇バイトの検挙数は増加し続けている状況です。例として、闇バイトと関連深いサイバー犯罪の検挙件数は12,479件、特殊詐欺は7,212件と過去最多でした。

出典:法務省「令和6年版犯罪白書」

手口の巧妙化もあり、自分でも気づかないうちに闇バイトにかかわってしまう恐れもあるため、これまで以上に注意が必要になっています。

闇バイトをすると加担させられる犯罪の種類

闇バイトは一見すると単純で楽な業務に見えて、実際は凶悪犯罪の実行犯にされる可能性が高いため、決して関わってはなりません。当初はちょっとした手伝いからスタートしたとしても、エスカレートしていくケースも多くあります。

以下は、闇バイトに参加すると加担させられる犯罪行為の例です。

  • 特殊詐欺
    被害者に電話をかけて騙す「かけ子」、現金やキャッシュカードを受け取る「受け子」、ATMから現金を引き出す「出し子」などの役割を担わされます。10年以下の懲役を科せられるリスクがあります。
  • 強盗
    個人宅や店舗に押し入り、暴力や脅迫を用いて財産を奪う行為に関与させられます。5年以上の有期懲役が科せられる凶悪犯罪です。手伝った者(強盗予備)にも2年以下の懲役があり、被害者を傷つけた場合は無期または6年以上の懲役、相手を殺した場合は死刑または無期懲役になります。
  • 違法品の運搬・取引
    「荷物の運搬」という名目で、薬物や盗品の運搬や取引に関与させられます。たとえ運ぶものについて自分では知らなかったとしても、共犯として逮捕される行為です。10年以下の懲役及び50万円以下の罰金を科せられる可能性があります。
  • 名義貸し
    自分の名義で銀行口座や携帯電話を契約し、詐欺や資金洗浄などの犯罪行為のために使わせる行為です。「銀行口座を開くだけの簡単なアルバイト」などの形で募集されます。銀行口座の名義貸しは1年以下の懲役・100万円以下の罰金、携帯電話の名義貸しは2年以下の懲役・300万円以下の罰金を受ける犯罪です。

いずれも実刑を受け、前科がつく可能性が高い犯罪であり、一生罪を背負って生きていくことになります。

闇バイト求人の手口の特徴と関わらないための対策方法

闇バイトの対策方法は「怪しいと感じた場合はすぐに警察に連絡する」ことです。自分で何とかしようと考えるのではなく、すぐに警察相談ダイヤル(#9110)あるいはインターネット・ホットライン・センターへ通報しましょう。

闇バイト求人には、ある程度決まった手口があると言われています。以下では、闇バイト求人の手口を解説します。

SNSを応募窓口にしている

SNSは闇バイトの主要な募集手段です。TwitterやInstagramなどのプラットフォーム上で、「高収入」「簡単な作業」などと謳った求人情報を投稿している場合、闇バイト求人の可能性が高いと言えるでしょう。

闇バイトのSNS求人の特徴は、以下の通りです。

  • 「1日〇〇万円」「時給〇万円」と不自然に高額な報酬
  • 即日仕事ができる人間を募集
  • SNS上のみの求人広告
  • 応募のための連絡方法がSNSによるDM(ダイレクトメッセージ)のみ
  • 募集情報に名称、所在地、電話番号等の記載がない
  • 違法性がないことを強調
  • 仕事内容があいまい
  • 「~するだけ」「ホワイト案件」と簡単・安全な仕事を強調
  • 募集内容に伴う資格や経験が不問
  • 履歴書不要

出典:東京都特殊詐欺加害防止特設サイト「闇バイトの現状2024」

警察庁の発表では、SNSからの応募で闇バイトに加担してしまった加害者の割合は46.9%と、約半数がSNS経由で闇バイトに参加しています。

出典:警察庁「特殊詐欺に犯行利用された番号種別件数の推移及び受け子等になった経緯について」

特に、DM(ダイレクトメッセージ)でのやり取りを求めるものや、詳細を明かさずに「詳しくはDMで」と記載されている投稿には注意が必要です。

闇バイト特有の隠語が使われている

闇バイトの募集では、特定の隠語や符丁が使用されることがあります。

・闇バイトで加担させられる犯罪の隠語や符丁の例

強盗 叩き/タタキ/T
特殊詐欺 掛け/掛け子
U/受け子
D/出し子
テレアポ/テレオペ
違法品の運搬・取引 手押し/運び/ドライバー/配達/運送
売春 入浴介助/マッサージ/P活
違法薬物の売買への加担 花火の運搬/葉っぱ/草/アイス
オンラインカジノ運営 ゲームの運営/リモートビジネス
窃盗 犬/カラス/チャリティ活動
名義貸し 契約するだけ

隠語や符丁が使われており、業務内容があいまいな求人は、闇バイト求人の可能性が高いため、避けましょう。

匿名性の高いアプリへ誘導される

闇バイトの勧誘では、連絡手段として匿名性の高いメッセージアプリへの移行を求められることが多くあります。よく使われるのが、「Telegram」や「Signal」など、メッセージの自動消去機能や高い暗号化機能を持つアプリです。

これらのアプリはやり取りの履歴を残さず、証拠を隠蔽しやすいことから違法行為に使われやすいのが特徴です。もし、求人の応募過程でこれらのアプリの使用を求められた場合、闇バイトに加担させられるリスクが高いため、避けましょう。

個人情報の提出を求められる

闇バイトの募集では、応募者に対して過剰な個人情報の提供を求めます。多くの場合、氏名、住所、電話番号、銀行口座情報、家族構成や友人関係など、通常の求人応募では必要とされない情報まで要求されるケースがほとんどです。

個人情報を集める理由は、応募者を脅迫し、逃げられなくするためです。たとえ深く関わる前に逃げようとしても、「おまえの家は知っている。逃げたら殺すぞ」や「断ったらお前の家族を殺してやる」などと脅されます。逮捕されるまで犯罪に参加することを強要されるため、個人情報の提出を求められた場合はすぐに離れましょう。

闇バイトの手口は巧妙化している

警察が対策を強化している一方で、トクリュウをはじめとした犯罪組織も対応しており、闇バイトの勧誘手口は年々進化しています。かつては怪しいと一目で分かる求人内容が主流でしたが、最近では合法的なアルバイトに見せかけた募集が増加しているため、見抜くのが困難です。

例えば、「コールセンターで簡単な業務」と説明しながら特殊詐欺に加担させる、「日給1万円の配送作業」として違法品の運搬を行わせるなどの手口があります。報酬もほかのアルバイトと比べて高すぎない程度に設定されており、「高額バイトだから怪しい」という判断基準が通じません。

また、「上場企業が関与している」「行政の許可を得ている」などの偽情報を用いて、合法的な仕事と応募者を勘違いさせる「権威付け」も頻繁に行われています。

加えて、若者だけではなくシニア層の情報リテラシーの低さを狙い、闇バイトに加担させるケースも増加しています。「闇バイトは高校生・大学生などの少年や若者がターゲット」と安心するのではなく、すべての年齢の方が闇バイト対策を心がけるのが大切です。

しかし、犯罪者の手口は巧妙であり、闇バイトかどうかチェックするのは難しくなっています。SNSなどで募集されている求人は避け、求人サイトを活用するようにすれば、安全なアルバイトを見つけやすいでしょう。

闇バイトに参加した人の末路はどうなる?

闇バイトに一度でも関わると、抜け出すのは非常に困難です。多くの場合、応募時に送信した個人情報が犯行グループによって悪用され、逃げられない状況に追い込まれるでしょう。

最初は「荷物を運ぶだけ」「簡単な作業」といった軽い仕事から始まりますが、徐々に強盗や詐欺などの重大な犯罪へとエスカレートする傾向があります。一度でも犯罪行為に手を染めてしまうと、「警察に密告する」といった脅しにより、関係を断ち切るのがさらに難しくなります。

最終的には警察に逮捕され、実名報道により社会的信用を失い、たとえ長期の懲役刑にならなくても学校や仕事を辞めざるを得なくなるでしょう。より凶悪な犯罪にかかわった場合、長期間の懲役刑を受けるか、場合によっては死刑にもなり得ます。また、犯罪による賠償金の支払いで家族に経済的負担を強いることも少なくありません。人間関係は崩壊し、社会復帰も困難になります。

闇バイトへの対策は、関わらないことです。怪しい求人には応募せず、困ったときは必ず信頼できる人や公的機関に相談してください。

まとめ

高い報酬につられて闇バイトに加担すると、違法行為に深く引き込まれ、人生を台無しにします。たとえ一時的には大金を得られても、違法行為によって得られた金銭は結果的に没収や賠償金につながる可能性が高く、経済面にも大きな打撃を与えます。

気づいたときには後戻りできない状況になるケースも多いのが闇バイトです。もし怪しい募集を見かけたり、不審な勧誘を受けたりした場合は、ためらわずに公的機関へ相談してトラブルを回避しましょう。

特にSNSから匿名性の高いチャットアプリなどへ誘導されるケースも多いので、闇バイトを避けるためにも、求人サイトを活用した求人探しをするのが大切です。

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