国家資格の中には、受験資格がない資格が数多くあります。例えば、ファイナンシャル・プランナー、登録販売者、電気工事士、宅地建物取引士などが挙げられます。受験資格なしの国家資格は、年齢や学歴、職歴などに関係なく、誰でも挑戦できるのがメリットです。
当記事では、受験資格なしの国家資格を10個紹介します。自分の興味や適性に合わせて、さまざまな分野から資格取得に挑戦してみましょう。
目次
国家資格とは?簡単に取れる?
国家資格とは、日本の法律に基づいて個人の能力や知識を評価し、特定の職業に従事できることを証明する資格です。個人が一定の専門性を有していることを公的に認めるものであり、社会的な信頼性が非常に高いのが特徴です。
国家資格とは、国の法律に基づいて、各種分野における個人の能力、知識が判定され、特定の職業に従事すると証明される資格。法律によって一定の社会的地位が保証されるので、社会からの信頼性は高い。
引用:文部科学省「国家資格の概要について」引用日2024/6/5
国家資格には、業務独占資格、名称独占資格、設置義務資格という3種類があります。業務独占資格は例えば弁護士や公認会計士が該当し、資格を持たない人がその業務を行うことを法律で禁じられている資格です。名称独占資格は栄養士や保育士などが挙げられ、資格を持たない人がその職名を使用することはできません。設置義務資格は、特定の事業を行う際に資格者の設置が義務付けられているものを指します。これらの資格は国や地方公共団体、または法律で指定された団体が実施する試験によって授与されます。
なお、国家資格の分類のもう1つに技能検定があります。技能検定とは、業務知識や技能などを評価する検定で、法律で指定された団体が行う試験のことです。
受験資格なしの国家資格10選|難易度の一覧
普通自動車免許は、受験資格のない国家資格の1つです。他にも受験資格なしの国家資格としては、以下が挙げられます。
国家資格 | 難易度 |
---|---|
ITパスポート | ★★☆☆☆ |
ファイナンシャル・プランナー | ★★☆☆☆ |
登録販売者 | ★★★☆☆ |
電気工事士 | ★★★★☆ |
中小企業診断士 | ★★★★★ |
電気主任技術者 | ★★★★★ |
通関士 | ★★★★★ |
行政書士 | ★★★★★ |
宅地建物取引士 | ★★★★★ |
気象予報士 | ★★★★★ |
以下では、各資格の概要や特徴、難易度、勉強の有無を解説します。
ITパスポート
ITパスポートは、ITに関する基礎的な知識を証明できる国家資格です。ITを利活用するすべての社会人や、これから社会人となる学生が備えておくべき知識を得ることを目的としています。ITの仕組み、セキュリティ、ネットワーク、データベース、経営戦略など、多岐にわたる分野からの出題があります。
ITパスポート試験は、他のIT系国家資格と比べて難易度が低く設定されています。そのため、IT初心者でも十分に合格を目指せるでしょう。
出典:ITパスポート試験
ファイナンシャル・プランナー
ファイナンシャル・プランナー(FP)は、顧客のライフプランに基づき、お金に関する総合的なアドバイスを行う専門家です。家計の見直しや資産運用、保険、税金、不動産、相続など、幅広い分野の知識を生かして、顧客の経済的な安定と目標達成をサポートします。
FPには、国家資格であるFP技能検定と、民間資格であるCFPやAFPなどがあります。FP技能検定は3級、2級、1級の3段階に分かれており、3級はFPの基礎知識を問われるレベルで、比較的取得しやすい資格です。2級はより専門的な知識が求められ、1級はFPの最高峰の資格として位置付けられています。
出典:日本FP協会
登録販売者
登録販売者は、ドラッグストアや薬局などで第2類・第3類の一般用医薬品を販売できる資格です。
ただし、試験は国ではなく各都道府県が実施しており、「国家資格に含まれるかどうか」については媒体によって表記が異なる場合があります。制度自体は薬機法に基づく公的資格であり、広義には国家資格に分類されます。
登録販売者は薬剤師の指示のもと、医薬品の選択や使用方法の説明などを行います。医薬品に関する専門知識を身につけ、人々の健康をサポートすることに興味がある方におすすめです。
登録販売者になるためには、都道府県の実施する試験に合格後、登録の手続きをする必要があります。登録販売者の資格取得後はドラッグストアや薬局だけでなく、スーパーやコンビニエンスストアなど、医薬品を扱うさまざまな場所で活躍できます。
電気工事士
電気工事士は、一般住宅やビルなどの電気設備の工事を行うことができる国家資格です。電気工事士には、「第一種電気工事士」と「第二種電気工事士」の2種類があり、それぞれ作業できる範囲が異なります。第一種電気工事士は、一般用電気工作物だけでなく、最大電力500キロワット未満の自家用電気工作物の工事も担当できます。一方、第二種電気工事士は、一般用電気工作物を扱うことができます。
電気工事士試験は、学科試験と技能試験の2段階で構成されています。学科試験では電気や電気工事に関する基礎知識・法令などが問われ、技能試験では実際の電気工事の作業能力が試されます。
中小企業診断士
中小企業診断士は、中小企業の経営課題を診断し、経営改善のためのアドバイスを行う専門家です。経営戦略、マーケティング、財務・会計、生産管理、組織人事、情報システムなど、経営に関する幅広い知識を有し、中小企業の成長を支援する存在です。
中小企業診断士になるにはまず1次試験に合格し、その後2次試験を受けて実務補習または診断実務を行うか、中小企業基盤整備機構もしくは登録養成機関による養成課程を修了する必要があります。1次試験はマークシート方式で、経済や会計、経営に関する基礎知識が問われます。2次試験は筆記試験と口述試験があり、より実践的な問題が出題されます。
電気主任技術者
電気主任技術者は、工場やビル、発電所などの電気設備の保安監督を行うための国家資格です。電気設備の工事、維持、運用に関する保安を監督する責任者として、電気事業法によって選任が義務付けられています。
電気主任技術者の資格は、取り扱うことができる電気設備の規模や種類によって、第一種、第二種、第三種の3種類に分けられます。第一種は、すべての事業用電気工作物を取り扱えます。第二種は、電圧が17万ボルト未満の事業用電気工作物に限ります。第三種は、電圧が5万ボルト未満の事業用電気工作物が対象です(出力5千キロワット以上の発電所を除く)。特に第一種は非常に難易度が高く、電気工学の専門知識や実務経験が求められますが、第三種試験は一次試験のみであり、比較的挑戦しやすくなっています。
通関士
通関士は、輸出入される貨物について、税関への申告や手続きを行う専門家です。貿易の現場で必要不可欠な存在であり、輸出入に関わる企業や通関業者に勤務することが一般的です。通関士の主な仕事は、通関手続きの代行、輸出入申告書の作成、各種書類の審査や申告などです。
通関士になるには、国家試験である通関士試験に合格する必要があります。試験内容は、関税法、関税定率法、通関業法、外国為替及び外国貿易法など、幅広い法律知識が問われます。
出典:税関「通関士試験」
行政書士
行政書士は、「街の法律家」とも呼ばれる国家資格です。官公署に提出する許認可申請書類の作成や、権利義務に関する書類の作成、代理、相談業務などを行います。具体的には、会社設立や建設業許可、飲食店営業許可などの許認可申請、遺産相続や遺言書作成などの相談業務、契約書や内容証明郵便の作成などが挙げられます。
行政書士試験は、法律系の資格の中では比較的難易度が低いと言われていますが、法律や行政手続きに関する知識、論理的な思考力、文章作成能力など、幅広いスキルが求められます。
宅地建物取引士
宅地建物取引士(宅建士)は、不動産取引における重要事項説明書や契約書への記名、重要事項の説明などを行える国家資格です。
試験内容は、宅地建物取引業法をはじめとする不動産関連法規、民法、税金、権利関係など、多岐にわたります。そのため、合格するには計画的な学習と十分な対策が必要です。
気象予報士
気象予報士は、気象に関する専門知識と技術を持ち、天気予報や警報などを発表できる国家資格です。気象庁長官の許可を得て、気象予報業務を行うことができます。
気象予報士の仕事は、テレビやラジオ、インターネットなどで天気予報を発表するだけでなく、企業や自治体、研究機関などで気象に関するコンサルティングや調査研究を行うこともあります。気象予報士試験は、学科試験と実技試験の2段階で構成されています。
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まとめ
国家資格は、専門的な知識やスキルを証明するものとして、就職や転職の際に有利に働きます。特に、未経験の分野に挑戦する場合や、キャリアチェンジを図る場合には、資格取得が大きなアピールポイントになるでしょう。また、目標を持って努力した結果、国家資格を取ることができれば、自己成長の実感や達成感を得ることもできます。
国家資格の中には受験資格なしで挑戦できる資格も多くあります。自分の可能性を広げ、キャリアアップや自己成長を叶えるために、国家資格の取得に挑戦してみましょう。
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