派遣社員と正社員の違い｜両者のメリット・デメリットも解説

給与所得者の働き方には、正社員やアルバイト・パート、派遣社員などさまざまなタイプが存在します。その中で、社員とバイトの主な違いは把握していても、派遣社員と正社員の具体的な違いが分からないという人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、派遣社員と正社員の働き方の違いや、それぞれのメリット・デメリットを詳しく解説します。最後に、派遣社員から正社員になるための方法も紹介しているため、さまざまな経験を重ねて、自分にぴったりの働き方をしたいという人はぜひ参考にしてください。

派遣社員とは、仲介会社ともいえる「人材派遣会社」と雇用契約を結び、その人材派遣会社と契約を結んでいるほかの企業に派遣される社員のことです。派遣社員が雇用契約を結ぶ先は、派遣元となる人材派遣会社となるため、就業場所の企業と雇用契約を結ぶことはありません。

一方で正社員とは、就業場所の企業と雇用契約を結び、その企業の従業員として正規雇用される社員のことです。派遣社員のように、「労働者である自身と就業場所の企業をつなぐ企業」の存在はありません。

このように、派遣社員と正社員は一見同じ仕事をしているようで、実際の雇用形態にはさまざまな違いがあります。ここでは、派遣社員と正社員の違いについて、雇用主・給与形態・雇用期間・仕事内容・福利厚生の項目別に詳しく解説します。

派遣社員と正社員とでは、雇用主において下記のような違いがあります。

前述の通り、派遣社員は人材派遣会社と雇用契約を結び、紹介されたあらゆる企業で働きます。そのため、雇用主は人材派遣会社となります。

一方、正社員は就業先の企業と直接雇用契約を結ぶため、雇用主はその企業となります。

派遣社員と正社員とでは、給与形態において下記のような違いがあります。

派遣社員として働く際の給与形態は、基本的に時給制です。そのため、1か月あたりの給料は「時給×1日あたりの就業時間×勤務日数」で算出されます。また、賞与（ボーナス）は基本的に出ません。

一方で、正社員として働く際の給与形態は、基本的に月給制・年俸制です。そのため、休みの多い月でも安定した収入を得られます。また、企業によって有無が細かに異なるものの、賞与や特別手当が出ることも特徴です。

派遣社員と正社員とでは、雇用期間において下記のような違いがあります。

派遣社員は、3か月・半年・1年間など労働契約期間を定めて勤務する有期雇用となります。契約社員と同様のスタイルと考えると分かりやすいでしょう。一定期間で契約更新を行う必要があり、その際に契約を継続するか、満期終了となるかが決まることが基本です。また、契約更新も永続的に行えるわけではなく、同じ企業で働ける期間の上限は3年までとなっています。

しかし近年では、この「派遣3年ルール」が適用外となる「無期雇用派遣」の働き方も増えています。無期雇用派遣の場合、一般的な登録型派遣スタッフと異なり定められた期間での契約満了はありませんが、これまでと同様に派遣社員として働き続けることとなることも覚えておきましょう。

一方で、正社員は期間を定めることのない無期雇用となっています。自主退職をしたり正当解雇となったりしない以上、企業が定める定年まで働くことが可能です。

派遣社員と正社員とでは、仕事内容において下記のような違いがあります。

派遣社員は、派遣契約を交わす際にあらかじめ自身の担当業務が決まります。従って、就業先企業では契約により定めた業務のみを遂行することとなります。就業先企業は、派遣社員に対して担当外の業務内容を指示することもできません。

一方で、正社員は基本的に会社の指示によってさまざまな業務を遂行することとなります。自身の部署内における担当業務に加え、他部署のサポートや雑務など、行う業務は多岐にわたることが特徴です。

派遣社員と正社員とでは、福利厚生において下記のような違いがあります。

派遣社員の雇用主は人材派遣会社となるため、福利厚生もその人材派遣会社のものが適用されます。人材派遣会社によっても充実度が異なりますが、規模の大きい人材派遣会社ほど充実している傾向です。

一方で、正社員は就業先企業が雇用主となるため、福利厚生も就業先企業のものが適用されます。派遣社員と同様に、就業先企業によってその充実度は異なりますが、全体的に派遣社員よりも充実している傾向です。

派遣社員として働くべきか、正社員として働くべきかを判断するためには、それぞれのメリット・デメリットを比較することがおすすめです。メリット・デメリットを比較したうえで、どちらが自身に合っているかを検討しましょう。

ここからは、両者のメリット・デメリットを順番に紹介します。

派遣社員として働くメリット・デメリットは、下記の通りです。

【派遣社員として働くメリット】

派遣社員の大きな魅力は、自由度が高いことです。派遣登録時に勤務地や勤務時間、さらにある程度の仕事内容といった契約条件を決めると、理想に近い仕事を紹介してもらえるため、ライフスタイルに合わせた無理のない働き方ができます。また、派遣期間や仕事内容が決まっているため、職場の煩わしい人間関係に巻き込まれることが少なく、重い責任を負わされづらいこともメリットです。

【派遣社員として働くデメリット】

派遣社員は時給制であり、かつ雇用期間が定められていることから、不安定である点が最大のデメリットといえるでしょう。また、重い責任を負わされづらい反面、責任のある仕事を任されることがなく、やりがいも少なくなってしまいます。

正社員として働くメリット・デメリットは、下記の通りです。

【正社員として働くメリット】

正社員は派遣社員のように雇用期間が定められておらず、かつ毎月決まった給与を受け取れるため、安定感のあることが最大の魅力です。多岐にわたる業務を担うことから大きなやりがいも感じやすく、努力が給料に反映されやすい点もメリットといえるでしょう。

【正社員として働くデメリット】

正社員は安定感のあることが魅力ですが、解雇や転勤となる可能性も0ではありません。正社員だからといって同じ職場で働き続けられるわけでもない点に注意が必要です。また、責任のある仕事を任される反面、大きなプレッシャーを感じてしまう点も人によってはデメリットといえるでしょう。

派遣社員・正社員にはどちらもメリット・デメリットがあるため、「自分にはどっちが適しているのか、実際に経験してみなければ分からない」と感じる人も多くいるでしょう。

中には、まずは派遣社員として働き始めてから正社員を目指す人もいます。実際に派遣社員を積極的に正社員として登用する企業も多いため、どちらも候補に入れて考える場合はこのような企業の派遣社員からチャレンジしてみるのもよいでしょう。

派遣社員から正社員を目指す場合は、紹介予定派遣を選択することもおすすめです。紹介予定派遣とは、派遣社員としての終業後に、本人・派遣先企業の双方の合意のもと、社員として働くことを前提とする派遣システムです。

また、派遣社員から正社員を目指す場合、製造業に着目して求人案件を探すとよいでしょう。製造業であれば、派遣社員として行う実務で、実際に正社員として働き始めても求められる経験やスキルを身につけることが可能です。製造業の会社によっては、派遣社員の正社員登用制度を設けているケースもあります。

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派遣社員と正社員は、一見同じ仕事をこなしているように見えます。しかし、派遣社員と雇用関係にあるのは人材派遣会社となることから、就業先企業が雇用先となる正社員とは給与形態や雇用期間、仕事内容、福利厚生などにおいてあらゆる違いが出てきます。

両者にはメリット・デメリットがあり、どちらが向いているかも人によって異なります。まずは派遣社員として働きながら、将来的には正社員として働きたいと考えている場合は、派遣社員の正社員登用制度を設けている企業や紹介予定派遣を選択することがおすすめです。また、スムーズな正社員登用を望む人は、実務経験が大いに役立つ製造業を選択するとよいでしょう。

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