高卒と大卒では、進学や就職といったライフステージにおける選択肢に違いが生じます。特に就職活動や待遇、将来のキャリア形成において、学歴が影響する場面も少なくありません。進路を選ぶ際には十分な情報をもとに検討しましょう。
ただし、学歴だけがすべてを決めるわけではなく、早くから社会に出て実務経験を積んでいけば、高卒でも高収入や責任あるポジションを目指すことは十分に可能です。
当記事では、履歴書の最終学歴、就職率、仕事内容、待遇、生涯賃金などの6つの観点から、大卒と高卒の主な違いを詳しく解説します。進路を選ぶ際に後悔しないよう、メリット・デメリットの両面を客観的に理解しておくことが大切です。進路に迷っている方はぜひ参考にしてください。
目次
大卒と高卒の主な違い6つ
大卒と高卒では、就職活動や働き方においてさまざまな違いがあります。どちらが良い・悪いということではなく、それぞれにメリットとデメリットがあるため、将来のキャリアや働き方の希望に応じて選択しましょう。
履歴書に記載する最終学歴
履歴書に記載する最終学歴は、高卒と大卒で明確に区別されます。高校を卒業してすぐに就職した場合や、大学を中退した場合は「高卒」と記載する必要があります。一方で大学を卒業していれば「大卒」となり、多くの求人に応募可能です。
高卒でも応募できる求人は存在しますが、大卒以上を条件とする企業も多く、学歴によって選考の段階で不利になるケースもあります。
就職活動の現状
現在の就職活動においては、高卒・大卒ともに高い就職率を維持しています。2024年卒業者のデータによると、高卒の就職率は98.0%、大卒は98.1%と、ほぼ同水準です。
卒業年(西暦) | 高卒就職率 |
---|---|
2024年3月 | 98.0% |
2023年3月 | 98.0% |
2022年3月 | 97.9% |
2021年3月 | 97.9% |
2020年3月 | 98.1% |
出典:文部科学省「令和6年3月新規高等学校卒業者の就職状況 (令和6年3月末現在)に関する調査について」
卒業年(西暦) | 大卒就職率 |
---|---|
2024年3月 | 98.1% |
2023年3月 | 97.3% |
2022年3月 | 95.8% |
2021年3月 | 96.0% |
2020年3月 | 98.0% |
出典:厚生労働省「令和6年3月大学等卒業者の就職状況(4月1日現在)を公表します」
高卒でも就職が極端に不利になるというわけではありません。ただし、大卒は一般職から専門職まで幅広い選択肢がある一方、高卒は業種や企業規模に制限が出やすい傾向があります。いずれにしても、就職を成功させるためには早めの情報収集と計画的な準備が大切です。
就職先や求人数
高卒と大卒では、応募できる求人数や選べる業種に大きな差があります。高卒の求人では製造業や建設業などのブルーカラー職種が多い傾向にあります。一方、大卒の場合は流通業や情報サービス業などのホワイトカラー職種も多く見られます。
【高校・中学新卒者の産業別求人状況】
産業分類 | 求人数 |
---|---|
製造業 | 151,105 |
建設業 | 87,434 |
卸売業、小売業 | 58,684 |
医療、福祉 | 42,364 |
運輸業、郵便業 | 34,865 |
サービス業(他に分類されないもの) | 29,839 |
宿泊業、飲食サービス業 | 25,435 |
出典:厚生労働省「令和6年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る 求人・求職・就職内定状況」取りまとめ(9月末現在)」
【大卒の産業別求人状況】
産業分類 | 求人数 |
---|---|
流通業 | 282,000 |
製造業 | 278,000 |
建設業 | 110,000 |
サービス業 | 49,000 |
情報通信業 | 37,000 |
金融業 | 9,000 |
出典:リクルートワークス研究所「第42回 ワークス大卒求人倍率調査(2026年卒)」
また、大卒者のほうが大企業への就職機会も多く、企業規模の面でも違いが見られます。就職先の選択肢の広さは、将来のキャリアにも影響を与える要素です。
仕事内容
高卒と大卒では、携わる仕事の内容にも傾向の違いがあります。高卒の場合は、製造業や建設業など、体力や実務経験を重視する業務に就くことが多くなります。一方、大卒は事務職や企画職など、専門知識や論理的思考力が求められる職種に就く傾向があります。
ただし、実力主義を掲げる企業では学歴よりもスキルや経験が重視されるため、努力次第で職域を広げることも可能です。
待遇
待遇面では、統計的に大卒のほうが初任給・昇給ともに高い傾向があります。これは、昇進や役職の機会に学歴が影響を及ぼすことがあるためです。
年齢(歳) | 大卒 | 高卒 |
---|---|---|
20~24 | 約24.0万円 | 約21.6万円 |
25~29 | 約27.3万円 | 約24.1万円 |
30~34 | 約30.9万円 | 約25.9万円 |
35~39 | 約35.4万円 | 約27.7万円 |
40~44 | 約39.5万円 | 約29.3万円 |
45~49 | 約43.1万円 | 約31.0万円 |
50~54 | 約47.3万円 | 約32.0万円 |
55~59 | 約49.9万円 | 約32.2万円 |
60~64 | 約38.3万円 | 約26.6万円 |
65~69 | 約36.9万円 | 約23.6万円 |
ただし、学歴に関係なく成果を正当に評価する企業も増えており、高卒でも早くから実務経験を積めば、待遇の面でも評価される可能性があります。
生涯賃金
生涯賃金では、大卒のほうが高卒よりも数千万円単位で多くなる傾向があります。
男性 | 女性 | |
---|---|---|
大卒 | 2億5千万円 | 2億円 |
高卒 | 2億1千万円 | 1億5千万円 |
出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計労働統計加工指標集」
これは初任給や昇進機会の差だけでなく、入社できる企業の給与水準にも起因しています。とは言え、生涯賃金は職種や働き方で大きく変動するため、個人の努力や選択によっても異なります。
大卒のメリット・デメリット
大卒の大きなメリットは、求人の選択肢が広く、初任給や生涯賃金も高卒より高い傾向がある点です。大卒以上を条件とする企業にも応募でき、専門的な知識やスキルを身につければ、専門職や総合職などの職種も目指しやすくなります。また、大学在学中は自分の進路をじっくり考える時間があり、インターンや課外活動を通じて視野を広げることも可能です。
一方で、大学に進学するには学費が必要で、奨学金を利用した場合は返済の負担が生じます。さらに、自由な時間を有効活用できなければ、学歴だけが残る結果になる可能性もあるので、大学生活を目的意識を持って過ごすことが大切です。
高卒のメリット・デメリット
高卒の最大のメリットは、早く社会に出て実務経験を積める点です。大学に進学した同年代よりも4年早く社会人としてスタートできるため、実績やスキルを早い段階で身につけられます。
また、学費の負担がなく、早期から給与を得られるため、経済的な自立も早まります。特に職人系や現場作業など、長期的に経験を積む職種では高卒での就職が有利に働くこともあります。
一方で、大卒以上を条件とする求人に応募できないことがあり、選択肢が狭まる点はデメリットです。さらに、初任給や昇給ペース、生涯賃金にも差が出やすく、将来の収入面で不安を感じることもあります。高卒で就職する場合は、入社後も資格取得や実務経験を通じて、着実にスキルアップを目指すよう心がけましょう。
高卒からでも高収入を目指せる職種・業種
高卒からでも高収入を目指せる職種には、営業職、ITエンジニア、製造業などがあります。
営業職は成果が報酬に直結するため、実力次第で高収入が期待できます。ITエンジニアは未経験・学歴不問の求人も多く、スキルを磨けば年収アップが可能です。製造業でも、経験を積んで現場リーダーや管理職を目指せば収入は大きく伸びます。
また、公務員や運輸業、建設業なども高卒採用が多く、安定性と収入の両立が見込める業種です。
まとめ
大卒と高卒では、求人の幅や待遇、生涯賃金といった点で違いがあります。大卒は求人の選択肢が多く、収入面でも有利な傾向がありますが、学費負担があったり、在学中を有意義に過ごすよう心がけたりする必要があります。一方、高卒は早期に社会経験を積み、実力や実績によって評価されるチャンスもあります。
どちらの学歴であっても、自らのキャリアビジョンに基づいて行動すれば、十分な活躍が期待できるでしょう。進学か就職かで迷った際は、目先の条件だけでなく、将来のライフプランも見据えて選択することが大切です。
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