ドローンを趣味で楽しむ人が増える一方で、「より安全に飛ばすための知識を身につけたい」「法規制やルールを正しく理解して運用したい」と感じる人も多いでしょう。ドローンの飛行には法律や安全が関わるため、自己流の知識だけでは思わぬトラブルにつながることもあります。操縦者の知識や技能を客観的に証明できる「ドローン検定(無人航空従事者試験)」は、将来的な国家資格制度とも関連する注目の試験です。
当記事では、ドローン検定の概要や試験内容、合格によって得られるメリット・デメリット、申込から合格通知までの流れを詳しく解説します。検定を通じて体系的に学ぶことで、安全かつ信頼性の高い操縦者を目指せるでしょう。
目次
無人航空従事者試験(ドローン検定)とは?
無人航空従事者試験(ドローン検定)は、無人航空機(ドローン)を安全かつ適切に運用するための知識レベルを客観的に評価する試験です。受験を通して正しい知識と理解を深め、社会全体の安全意識向上を目的としています。
ドローン検定協会では、リモートパイロットを含む操縦者が基礎から体系的に学べる環境を整備しています。2024年時点で、1級4,713人、2級8,809人、3級40,044人、4級1,918人が認定されています。
| 級 | 認定数 |
|---|---|
| 1級 | 4,713人 |
| 2級 | 8,809人 |
| 3級 | 40,044人 |
| 4級 | 1,918人 |
ドローン検定の試験概要
ドローン検定は民間資格として広く認知されており、無人航空機の安全運用に必要な知識を段階的に学べるよう設計されています。ここでは、受験資格や試験内容、会場、出題方法、合否判定など、受験前に知っておきたい試験概要を解説します。
受験資格・試験内容
ドローン検定は、誰でも受験できる4級・3級をはじめ、3級合格者が挑戦できる2級、最上位の1級と段階的に構成されています。
出題範囲は、用語・気象・機体構造などの基礎知識に加え、上級になるほど物理学・工学・法令といった専門性の高い分野が問われます。特に1級では、電磁気学や航空法全般などの幅広い知識が必要とされ、ドローンの安全運航に関する理解と応用力が試されます。
試験会場
ドローン検定の試験は、全国各地の会場で定期的に開催されています。札幌・東京・大阪・福岡などの主要都市をはじめ、地方都市でも実施されるため、居住地に近い会場で受験が可能です。
ただし、試験実施地は毎回同じ場所で行われるとは限らず、試験要項にて都度発表されます。具体的な会場名は、受験申込後に郵送される受験票に記載されるため、事前に電話などでの問い合わせはできません。
出題方法
ドローン検定の出題方法は筆記試験のみです。試験はマークシート方式で実施され、各設問に4つの選択肢があり、その中から正答を1つ選択します。
全50問で、1問につき2点の配点となっています。出題範囲は各級に応じて異なり、鉛筆と消しゴムを使用して解答します。
合否判定・採点結果照会
ドローン検定では、100点満点中80点以上で合格となります。解答はマークシートを機械で読み取り、自動的に採点・判定されます。
通常は個別の得点は開示されませんが、有料(1,500円+税)で「採点結果照会」を申し込むと、答案を個別に採点した上で得点を含む結果が郵送で通知されます。採点ミスが確認された場合は、照会費用が返金されます。
ドローン検定を受けるメリット
ドローン検定を取得することで、操縦者としての知識とスキルを客観的に証明できるだけでなく、安全運航に関する理解も深まります。ここでは、資格取得によって得られる具体的なメリットを紹介します。
スキルを証明できる
ドローン検定に合格することで、無人航空機の安全運用に関する知識とスキルを客観的に証明できます。試験では、法律・安全管理・航空知識などの幅広い分野が問われるため、合格者はドローンを適切に扱えることを社会的にアピールすることが可能です。
さらに、ドローン検定のロゴを名刺や自社サイトに掲載できるため、ビジネスの信頼性向上にもつながります。資格取得を通じて最新の法制度を理解することは、トラブル防止にも役立つでしょう。
座学講習が免除される
ドローン検定に合格すると、JAREX(日本不動産登記法人協会)・ドローン操縦士協会・日本ドローン協会など、ドローン検定協会が提携する団体による講習で座学が免除される場合があります。これにより、効率的に実技訓練へ進むことができ、より実践的なスキルを身につけやすくなります。
また、一部スクールではドローン検定4級以上の取得を受講条件としている場合もあるため、資格を持つことで学習機会の幅が広がるでしょう。
国交省への許可承認申請がしやすくなる
空港周辺・緊急用務空域・150m以上の上空・人口集中地区など、ドローンを特定の空域で飛行させる場合、国土交通省への許可申請が必要です。航空機の航行の安全に影響を及ぼす場合や、落下により地上の人に危害を及ぼす可能性が高い場合は、無許可でドローンを飛ばすことができません。
「無人航空機の飛行に関する許可・承認申請書」を提出する際、ドローン検定の資格取得証明書などを添付すると、審査がスムーズに進む可能性があります。これは、ドローン検定が安全運航の知識を体系的に習得した証明となるためです。ただし、審査自体が免除となるわけではなく、場合によっては却下されることもあります。
飛行時間を記録できる
ドローン検定合格者は、専用のオンライン飛行ログサービスを利用して飛行時間を記録できます。国土交通省への飛行許可申請には10時間以上の飛行実績と操縦技術の習熟が求められ、オンライン飛行ログサービスを活用すれば記録をPDFで簡単に出力できます。
また、バッテリー消費量やエラー履歴なども記録できるため、機体の状態管理やメンテナンスにも役立ちます。飛行データを蓄積することで、自身の技能向上を可視化できる点も大きなメリットです。
合格者限定グッズを購入できる
ドローン検定の合格者は、ログ帳やワークブルゾン、協会スタッフと同じデザインのポロシャツなど、実用性とデザイン性を兼ね備えた限定のオリジナルグッズを購入できます。
1級・2級の合格者にはピンバッジも贈呈され、資格取得の達成感をより高める要素となっています。こうしたグッズは、モチベーション維持やコミュニティ意識の向上にもつながり、ドローン愛好者同士の交流を促進する効果もあります。
ドローン検定を受けるデメリット
ドローン検定には多くの利点がありますが、受験や講習にかかる費用など、いくつか注意すべき点もあります。ここでは、検定を受ける前に知っておきたいポイントを紹介します。
受験料の負担がある
ドローン検定を受験する際は、級ごとに受験料が必要です。4級は3,200円、3級は6,600円、2級は12,900円、1級は18,800円と、上位級になるほど費用が高く設定されています。
| 級 | 受験料(税込) |
|---|---|
| 1級 | 18,800円 |
| 2級 | 12,900円 |
| 3級 | 6,600円 |
| 4級 | 3,200円 |
特に1級・2級は専門性が高いため、まずは誰でも受験できる3級・4級から挑戦し、段階的にステップアップするのがおすすめです。受験料は自己投資の一環として考え、計画的に受験を進めましょう。
スクール通学には一定の料金が発生する
ドローン検定の学習を目的にスクールへ通う場合、受講料の相場は20万~30万円程度です。講習料にはテキスト代や機材レンタル料が含まれることが多いものの、遠方のスクールに通う場合は交通費・宿泊費も必要です。
取得を目指す資格や講習内容によって費用が異なるため、自身の目的に合わせて受講を検討しましょう。また、受講前に料金の内訳を確認しておくと安心です。
ドローン検定の申込から合格通知までの流れ
ドローン検定では、オンライン申込が可能です。まず、公式サイト右上の「受験案内・申込み」ページから希望する級と会場を選び、申込を行います。受験申込フォームに必要事項を入力し、受験料を入金すると、1週間前後で受験票が郵送されます。受験票は紛失しないように保管しておきましょう。
試験当日は、受験票・鉛筆・消しゴムを持参し、指定された会場で受験します。受験後は約10日で合否通知が郵送され、通知に記載の情報をもとに公式サイトでも確認することが可能です。合格者には、受験日から約1か月後に合格証が届きます。
まとめ
ドローン検定は、ドローンを安全に運用するための知識を体系的に学び、操縦者としての信頼性を証明できる資格です。段階的な試験構成により、初心者から上級者までスキルアップを目指せる点が特徴です。合格者は、実務面でも多くのメリットを得られます。
また、提携講習の座学免除や限定グッズの購入など、継続的な学びとモチベーション維持につながる特典も魅力です。一定の費用負担はありますが、正しい知識と技術を身につけることで、安全性と社会的信用を兼ね備えたドローン操縦者として活動の幅が広がります。資格取得を通して、仕事や趣味のステージを次のレベルへと進めましょう。










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